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アンドロイドボーイ[最終話]

最終話『アンドロイドボーイ』


「あっ……あのッ!」

 扉に手を伸ばしたところで呼び止められた。

 久遠が振り返ると、二条院は立ち上がり両手を腹の前でもぞもぞとさせ、何やら落ち着かない様子でいる。
 気まずそうに視線を泳がせて、また「あ、あの……」と口ごもった。

「何だよ」

「い、いや……あの。実は、さーー」

 二条院がぼそぼそ語るのを要約すると、つまりこうである。




 あの夜。
 久遠に前科1犯をくれてやった、あの夜。

 二条院は家に帰ると、リビングを素通りして自室に入り、そのままベッドで寝てしまった。
 翌朝。
「お兄ちゃん、起きて」
 妹・美優の、いやに落ち着いた声で目が覚めたという。

 妹が部屋へ起しに来てくれるなんて何年ぶりだろうと、二条院は少なからず浮かれた。
 しかし眼鏡をかけるなり、二条院は起き上がるのもやっとという腰痛を忘れ、ベッドの上で後退った。

 なぜなら妹は、祖母愛用の超高級高枝切りバサミをこちらに向けて立っていたからだ。

 どんな強固な枝でも一太刀(ひとたち)と名高い鋭い刃先が、朝の光を反射して艶めかしくきらめいている。その輝きたるや、さぞかし多くの樹液滴る隆々とした大枝を容赦無く一太刀にしてきたに違いないと二条院は直感した。

 妹の表情は誕生日ケーキにナイフを入れる時同様、目は座って冷徹そのもの。標的をしとめる時の必殺仕事人の顔である。

 そして何よりも、隙一つ無い威風堂々とした武将のような構え。
 これはまさか二条院家の女性に代々伝わると聞く、二条院流なぎなた術の秘技『熊えぐり』の構えではないだろうかと二条院は思った。

 妹は静かな声でゆっくりと言った。
「お兄ちゃん。どういうつもり?」

「……え?」と二条院が可能な限り穏やかに返すと、超高級高枝切りバサミがズドンっと顔の前に猛進してきたので、二条院は驚いてベッドから転げ落ちた。

「どういうつもりですかって、聞いてるの。
 どうして久遠さんに、自分の想いを伝えないの?」

「えッ!? あ、ああ……その話。その話か。それはまあ……いろいろとあって、ちゃんと決着がついてるから……。美優が心配する事は何も……。あ、そもそもお兄ちゃんは男なんて好きにならないし、あれは美優の勘違ッッ……ぅわッ! ちッ……ちょっ、美優! お、落ち着けッ……!!」

 二条院は生きた心地がしなかった。
 目の前の高枝切りバサミが威嚇するようにベッドフレームをかん高く一撃して鋭い爪痕を残し、そして次はお前だと言わんばかりに二条院の喉元にひたりとくっついた。

「私をバカにするのも大概にしろぉッ!!」

 美優はド迫力の声でそう叫び、ひしと凶器を構えた。

「これ以上私をコケにして、つまらない嘘でのさばるつもりなら、今後一切お兄ちゃんとは口をききません!」

 キッパリと言い放った後、「そんな奴、もうお兄ちゃんじゃない」と小さく付け加えた。

「そ、そんなッ! 美優!」

「それが嫌なら、久遠さんにちゃんと想いを伝えて」

「いや、でも……それはーー」

「ええいッ! 往生際が悪いっ! 好きで好きで仕方ありませんと、ハッキリ言えッ!!」

 大きなハサミがいよいよ血に飢えた様子で、両手を上げる二条院の喉元でヂョギンと吠えた。

「わ、わかったよ……」

 二条院が小さく言うと、美優は満足したようにニンマリと笑い、高枝切りバサミを鬼のようにズトンと体の横に立てた。
 かくして裁きは下された。

「分かれば宜しい」
 腰に手をやり母親の口癖で話を締める美優。
 二条院は気付かないうちに正座をしていた。

「ご、ご心配を、お掛けしました……」

 初めて妹に敬語を使ったという。




 以上が二条院 学に起きた災難の一部始終である。

 悪名高い俺様メガネが正座で妹に頭を下げたとは、なかなか痛快である。

 二条院の隣に腰を下ろし肘をついて話を聞いていた久遠は笑いを堪えながら、突っ立ったままの二条院を見上げた。

 当の本人はいたって真面目で、困った表情のまま力無く座り込む。
 愛する妹に絶縁を言い渡されそうになるとは一大事であったのだろう。顔色が悪い。

 口元に手をやり何か言いたげな二条院の言葉をしばらく待っていたら、結局どちらから話す事もなく、静かな時間が多く流れてしまった。

 夕刻の屋上は相変わらず寒い。冷たい風が校庭にある木立を揺らして夜を呼んでいる。
 落ち葉が転がっていく乾いた音を聞きながら、久遠はぼうっとしていた。

 隣を見ると二条院もまた、立て膝の上で両腕に顔をうずめ遠くを眺めている。

 携帯の振動音。

 後ろポケットに手を伸ばそうとしたが、久遠の携帯は大人しい。

 二条院がポケットに手を突っ込んで振動を止めた。

「生徒会か?」
 久遠がぽつりと聞くと、二条院は顔を半分隠したまま微かに頷いた。

「相変わらず忙しそうだな」
 俺様メガネは何も言わず、眉をひそめて思い悩むような顔をしていた。
 そのまましばらく動こうとしなかった。

「行かなくていいのか?」

 久遠が聞くと二条院は思い切ったように大きな溜め息を吐き、カバンの中から何かを取り出した。
 2枚ある紙切れのような物を1枚久遠に差し出す。
 そして口を尖らせじっと前方を見つめたまま「やる」と言った。

「なにこれ。映画のチケット?」

「生徒会の没収品だ。捨てるのは、気が引けるから……」

「映画のチケットって、見つかったら没収されんの?」

 すると二条院はぷいと向こうをむき「いらないなら返せ」と手を出した。

「いや、まあ貰っとく。見たかった映画だし……」

「……も、もしよかったら……次の日曜にでも、一緒にーー」

「え、次の、日曜……?」

「むッ、無理ならいい!」
 急にお見合いみたいなギクシャクした空気になったのは気のせいか。

「日曜、昼過ぎからなら空いてる。昼頃ちょっとライブハウスに寄るつもりだからさ」

「ライブハウス……?」

「ああ、うん。この間のライブハウスな。久しぶりにドラムの様子でも見に行こうかと思ってさ」

「また始めるのか? バンド」
 二条院が驚いた様子でこちらを見た。

「いや、別にそういう訳じゃねえけど。あそこのドラムセット、古くてあんまり練習で使う奴いねえからさ……。錆び付かせんのも、なんかな……」

「あの……」

「何だよ」

「……俺も、一緒に行っていいか? 邪魔、しないから」

「別に、いいけど。でも退屈だぞ? たぶん俺、掃除とかしだすし」

 それでもいいと二条院が言い張るので、日曜の昼に会う約束をした。

「じゃあ日曜」と二条院は立ち上がった。

「あっ、おい」
 久遠が細い手首を捕まえる。

 二条院は不思議そうに振り返った。

「あれ、いいのか?」

「あれ?」と二条院は目を細めた。

「ほら、好きで好きで仕方ありませんって、俺に言わなくて、いいのか?」

 久遠が言うと、「お前、楽しそうだな」と二条院は言った。
 それから久遠の手を振り払って「誰が言うか! そんなこと」と怒りながら歩いて行った。

 久遠がにやにやしながら後ろ姿を眺めていると、二条院が立ち止まる。

 そして振り向いたかと思えば、いつか見た様にこちらをズバシと指差した。

「 狙った獲物は逃がさない!
 既にお前のハートは私のものだ!! 」

 高校生にもなってどうしてそんな恥ずかしい事を大声で叫べるのだろうと、そういえばあの時も久遠は思った。

 たださすがと言うべきか、超絶美少女アンドロイドは有言実行なのである。
 久遠 翔はアンドロイドなるものの実力を知り、気が付けばまんまとハマっていた。

 ― もう一度ドキドキさせてあげちゃう
 アンドロイド キス
 とびきりのスリルでーー

 サビの歌い出しは確かそんなだったか。

 視線を釘付けにして歩いて行ったアンドロイドが扉の前でちらりと振り返る。

 そしてしびれる微笑み一つで、狙った獲物を悩殺。

 既にハートは、奴のものである。




          ーー完ーー




【後書き】
ふぃ〜やっと終わりましたぜ。
長々とここまでお読み下さった方、本当にありがとうございます。
そして微妙な終わり方でホントごめんなさいm(_ _;)m

ただ……! ただ…、女装君が欲しかった!
ただそれだけなんです。
女装キャラが欲しいばかっかりに前作のスピンオフくらいの軽い気持ちで書き始めたのが……まさか30話近くなって、今年も終わっちゃう時期になるとはね。

誰も信じてくれないでしょうが、私はこれを8話くらいで終らすつもりだった。相当キテるな、自分。今回改めて自覚しました。

軽い気持ちで書き始めたから内容もそれほど作り込んでなくて、逆に書いてて苦しい部分もありいの。
裏設定やエピソードのメモを怠ったため、あれ書こう!と思ってた事をいっぱい書き忘れたなど、毎度課題は山積みです。何より読んでる方からしたら「?」のまま終っていった部分が多くて迷惑極まりない事でしょう。ホントにすみません。

収穫は、スマホで執筆するスタイルがつかめた事かな♪

ということで、次の新作が決まるまで「転じて吉」がまたダラダラと続いてしまいそう^^; 
やっと手に入れた女装君を使って何をさせてしまうのか……私。
アンドロイドボーイの2人の行く末も「転じて吉」の方で☆

ってか、すごいとこで止まってんな前作。
クリスマス?年末?正月?たまにはイベントに乗じて更新してみたいもんです(´д⊂)‥ハゥ

改めて「アンドロイドボーイ」お読み頂きありがとうございました♪
では。

(追記)
U様〜♪お久しぶりです♪
BL解禁の一番手に選んで頂きまして、もうホント恐縮です(汗)
遊びに来て頂いていきなり完結しましたが大丈夫だったでしょか……。
またよろしければお寄り下さい♪

テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

アンドロイドボーイ[第28話]

第28話『黒髪メガネ』


 とりあえず登校してはみたものの、錆び付いたように重たい心と身体を教室まで引きずる気力も無く、寒空の屋上で死体のように転がっていたら夕刻になってしまった。

 希望の欠片一つない、月曜の夕暮れである。

 旧校舎の屋上に向かう途中、珍しく人に出くわした。
 確か椎名という若い教師である。

 そいつは久遠とすれ違うなり足を止め「おい」と呼びかけてきた。
 久遠が振り返ると、二日酔いのような徹夜明けのような教師らしからぬ面持ちでぽつんと言った。

「誰、お前」

 久遠は一瞬言葉を失ったが「久遠、ですけど……」と小さく呟いた。
 ところが相手の教師が何の反応も示さないので、小さく「2年B組の」と嫌々付け足した。

 するとその若い教師は、確実に納得していないと断言できるいぶかしげな顔のまま、何も言わずに歩いて行った。 

 それから屋上で時間を持て余した。
 カバンの中を探ってみると、ずっと読みかけのまま放ってあった小説を発見したので、久し振りに開いてみる。
 世間では敬遠されがちな純文学というジャンルが、実は久遠の数少ない心の友である。
「エロ本の方がまだマシ」と妹に言われて以来、こっそり逢瀬を重ねるように読みふけっていたが、最近は読書をする気力さえ無くしていた。

 あまりにもその小さな文庫本にのめり込んでいたので、階段を上ってくる靴音さえ聞き逃していた。

 突如屋上の扉が勢いよく開いたので久遠は驚き、その拍子に手から本が滑り落ちた。

 扉から入って来た人物も先客を予想していなかったのか、驚いて足を止めた。
 それから幽霊を見たような表情でこちらを凝視した。

 しばらくして「出会い頭のドッキリをやめろと言ったのは、お前の方じゃなかったのか……」と、二条院 学は目を細めた。

「別にお前を驚かせるために、こうなった訳じゃねえ」
 さすがに視線を合わせるのは気まずく、久遠が顔を背けてバツ悪く言うと、二条院はこちらに歩きながらフンと鼻をならし「まったく……誰かと思った」とブツブツ言った。

「誰かさんにくらった一撃のせいで、コンタクトにドクターストップがかかった」
 そう言って久遠は鼻に手をやり、眼鏡をくいと上げた。

「ああ、それはお前が美少女アンドロイドみゆゆに鉄パイプで殴られて、前科1犯の罪を犯したあの夜の事か?」
 二条院は皮肉を言って、久遠の隣に腰を下ろした。

 さて、その前科1犯のあの夜である。
 家に帰ってみると鉄パイプの一撃を受けた左腕と米上が思いの外痛む。その日は風呂にも入らず寝て、次の日の朝シャワーを浴びて出てくると、一度外したコンタクトレンズがどう言う訳か痛くて入らない。
 鏡を覗き込むと、左眼が充血している。

 休みの日に開いている眼科を探して行ってみると、診察室に入るなり、しばらくコンタクト禁止という診断が下された。

 仕方なく手持ちの黒縁メガネをかけていると、そんな時に限って妹二人が絡んで来やがる。

「あら翔ちゃん、どうしたの? その眼鏡。金髪に黒縁メガネで更にピアスだなんて、あなたお母さんをバカにしているの? 何でもやると決めたらトコトンやり抜く! 中途半端はお母さん一番嫌いですよ? 金髪に黒縁の眼鏡をかけるくらいなら、首にヘビを巻いて歩きなさいな。オホホホ」
 これは母の真似である。
 怒っているのか馬鹿にしているのか分からない喋り方がそっくりだ。
 どこまで本気か分からない事をいつも言って、実はどこまでも本気という恐怖の女である。

 するともう一人の妹が「おや、ちょうど良かったお客さん! 只今わたくし絶賛、美容師志望中でして、今ならお安くしておきますよ!」ときた。
「あらぁ、ちょうど良かった! うちのボンクラ変態息子、お願いしますわ! ほらぁ、年頃の超可愛い天使のような双子の妹がいますでしょう? 万が一、息子のせいで近所でバカにされたら大変ざましょ」
「いやぁ、さすが久遠さんとこの奥様! 分かってらっしゃる! わたくしめに万事お任せあれぇぇ!」
 妹二人は寸劇を披露し、手にはいつの間にか市販のヘアカラーの箱をカタカタいわせている。

 こうなると止めても無駄。妹達の悪乗りを放っておくくらい、二条院の我慢に比べれば他愛ないと覚悟を決めた。

 妹共はこうでも無い、ああでも無い、あっしまった、まいっか、やばくね、マジめんどい、髪死ねなどと連呼しながら久遠の髪をやりたい放題して、あげく傷心の兄からお守り代わりの一万円札を略奪して去って行った。
 まさか一万の大台を要求してくるとは思ってもみなかったので、久遠も相当抵抗したが「首にヘビを巻かなくて済むのは誰のおかげだ」と一喝された。ただの悪徳業者である。消費者センターにお世話になる日も近い。

 結果、久遠は黒髪に黒縁メガネという葬式仕様に変身した。
 一度鏡を覗いたが、ゾッとする程冴えない男が写っていたのですぐに見るのをやめて、ピアスも全て外した。
 それ以来、一度も鏡を見ていない。

 そういう訳で、すれ違った教師や二条院が驚くのも無理はない。

 久遠は数え切れない程吐いた溜め息を、また深く重ねた。

 二条院を見ると、下を向いて何かをじっと眺めている。その視線を追い、久遠はハッとして文庫本を拾い上げ、隠すようにしまった。
 そそくさとカバンを肩に掛けて立ち上がる。

「ぁ……どこ行くんだよ」と二条院が口走った。

「どこって。帰んだよ」
 振り返ると、もろに真正面から視線が合ってしまい、久遠はうっと息をのむ。

 少しうろたえた様子でこちらを見上げる二条院。
 それは紛れもなく悪名高い俺様メガネのはずなのだが、こうやって見ると、間違いなく美少女アンドロイドみゆゆでもある。
 抜群に好みの顔。容赦無い可愛さ。
 二条院が眼鏡を外した時にだけ感じていたときめきを、眼鏡装着時にも感じてしまうとは、我ながら深手を負った。

 いつも教室で見ている俺様メガネは、二条院 学のほんの一部分でしかない。あの眼鏡レンズの裏にどれだけの秘密が詰まっているのか、久遠は少しだけ垣間見てしまった。

 別にアイドルが好きな訳では無い。
 沢山の秘密の底に隠された、俺様メガネでも無い、美少女アンドロイドでも無い、美優の堅実な兄でも無い、ただの素の二条院 学に惹かれた。
 しかしそれに手を伸ばすには、あまりにも身の程を知らなさ過ぎたのかもしれないと久遠は思う。

 二条院の白い首筋に目がいき、どくりと血がざわめいた。
 一緒にいることで、これ以上二条院を傷付けるのも犯罪者になるのもごめんだ。

「学……」
 ぼんやりと口にしたが、この名を呼ぶのも最後だろう。

「この間の夜のことは……本当に、悪かったと思ってる。
 取り返しのつかない事をしたし、謝って許してもらえるとも思ってない……ただーー」

 顔を上げると二条院は僅かに苦しそうな顔をしていた。
 これ以上は聞きたくないという辛そうな表情。

「ただ俺は……お前のことが、本気で……好き、なんだ……」

 久遠は言葉を切って、肩の力を抜いた。
「ま、お前は無意味だって笑うかもしれないけど……。あの時はちゃんと言えなかったし、最後だから一応気持ちは伝えとく」

「じゃあな」と言って、久遠はまた背を向け歩き出した。

 やはり、ことごとく救いようの無い、月曜の夕暮れである。




【後書き】 ああ、だめだ!
やっぱり長すぎるので二話に切ります(T_T)
せっかく今回完結出来ると思ってたのに……すみません。
次回完結〜^^;
期待せずにお待ちあれm(_ _;)m

テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

アンドロイドボーイ[第27話]

【注意】性描写あり。成人腐男女以外は閲覧ご遠慮下さい。



第27話『別れ』

 
「ぁ……動く……なッ!」
 絶望に暮れた涙声で、二条院がそう呻(うめ)いたことは覚えている。もちろん無視して行為を続けた。

 ひんやりと肌触りの良い太股を割り開いたその奥は、煮えたぎるように熱く、絡み付くように蠢めいて久遠を煽った。
 血の滴る生きた肉を引き裂いていく興奮に溺れ、繋がってすぐ息つく間もなく久遠は身体を激しく揺らし始めた。
 暗闇の中で瞳を閉じ、己の快楽だけを追い求めていく。

 布が擦れる音。
 ベルトの金具がコンクリートを叩く音。
 獣のような自らの息づかい。

「ぅあァッ、あァッ、あぁァ……ぃッ!」
 悲痛な喘ぎを唇でふさぎ、口内をむさぼる。
 唾液と涙でべとべとに濡れた愛らしい顔を指でなぞる。

 途中、二条院の腕がしがみつくように久遠の背中にまわって爪を立てた。
 うわ言のように切なげな声で久遠の名前を何度も呼ぶので、久遠も熱くなっている小さな耳に直接「学……」と吹き込んでやると、二条院の身体は痙攣するように震えた。

 限界まで深く、細い身体の奥底を何度も突き上げる。
 何度も、何度も。

 小さな肩を強くつかんで押さえ付け、本能のままに身体を打ち付けた。

 あの切なげな声がいつの間にか途切れ、乾いた吐息になっていると気が付いたのは、絶頂を越えた後だった。
 惰性で揺さぶっていた二条院の身体はぐらんぐらんと力無く波打ち、知らぬ間に動かなくなっていた。

 終わったなーー。
 上半身を起こし、押さえ付けられたままの格好で動かなくなったシルエットを眺めた。
 これで今までの複雑な関係も、淡い恋心も、全てが消えた。

 繋がっていた身体をずるりと引き抜くと、細い足首がぴくぴくと小刻みに痙攣した。

 二条院の服装を整え、死んだ恋人を抱きしめるかのように久遠は二条院の身体をぎゅっと包み込んだ。

 夜の冷気はしっとりと重たく、火照った二人の身体に徐々に染み入り冷やしていく。
 こうやって抱きしめたまま、凍るように静かに消えてしまえればいいのにと思ったが、きっと二条院はお断りだと怒るだろう。




 どれくらい経ったのか分からない。
 二条院を抱きしめたまま随分じっとしていた。

 ふと大きな潤う瞳がこちらを見ているような気がして、久遠は目を開けた。
 暗い中に目を凝らすが、よく見えない。

「学……?」
 静かに呼んでみても反応がないので、頬にそっと触れてみると、長い睫毛がふわりと動いたのが分かった。

 ふうと息を吐き、さらさらとした髪に頬を寄せる。
 またしばらくそのままじっとしていた。

「学……。俺は、お前のことが……本気で……」
 言い訳をしたかったのか謝罪をしたかったのか、久遠が独り言のように呟いた言葉を、二条院が冷たい指先で遮った。
 そして静かな、凛とした声で二条院は言った。

「お前が、俺をどう思おうと、俺が、お前をどう思おうと……俺達は絶対、付き合えない。だから……お互いの気持ちを知るのは、無意味だ。知れば余計に辛くなる……」

 それは両想いという事なのだろうかと一瞬よぎったが、そんな事は二条院の言う通り無意味なのかもしれない。

 両想いになって付き合えるかもしれない、そんな希望は二条院を押し倒した時点で消滅していたので、大したショックも無かったが、あんな酷い事をされておいて一言も相手を責めないという二条院の態度が久遠にはきつかった。
 どうせなら、あんな事をするなんて信じられないと軽蔑されて、ことごとく嫌われる方が楽だろう。

「どうして、付き合えない? ……男同士、だから?」

 返事は無い。

 久遠が少し考えて「美優ちゃん、か……?」と聞くと、二条院はやはり何も答えなかった。

 恐らく後者だろうというのは久遠の勘だが、どちらにしても同じ。どうしようもない理由だ。

 妹のために自分の意思を曲げ、何かを我慢するというのはおかしい。間違っている。
 そう二条院の妹・美優は言っていた。

 そんな事は分かっているが、久遠が二条院の立場なら同じ選択をするだろう。
 妹と同じ相手を好きになってしまったら。

 二条院は黙ったまま久遠の胸板に強く顔をうずめた。
「お前も妹を持つ身なら、それぐらい察しろ」と言われているような気がした。

 所詮、兄として妹のために出来ることは、我慢くらいである。それが痛いほど分かるのだから、これ以上はどうしようもない。
 どうせ、もう終わったことだ。

 何も喋らなくなった二条院の身体をまた包み込み丸くなっていると、ビルの裏から足音が近付いてくる分かった。

「学ーーっ!」と、二条院の名前を呼んでいる。
 男の声だ。

 久遠の肩にくたりと顔を乗せたまま二条院は動かない。
 呼び声をやり過ごそうとしていると、悪い事に風に吹かれた鉄パイプが音をたてて転がった。
 久遠が背にする台車のすぐ後ろを通り過ぎようとしていた足音が止まる。

「いるのか? 学?」

 足音がこちらへ回り込んで来ると分かり、久遠はそっと二条院の身体を離して立ち上がった。
 上着を脱いで二条院に掛けてやり、足音の方へ歩いて行く。

 街灯の元に出て眼を細めると、こちらに歩いて来たのはあのマネージャのような男だった。

「学なら……ここには、いません」

 久遠がぼそりと言うと、男はあからさまに嫌そうな顔をした。
 そして疑った様子で久遠の背後をちらり覗き込むようにしてから、もう一度冷たい視線で久遠をひと睨みして、何も言わずに歩いて行った。

 姿が見えなくなると、また二条院の名前を呼ぶあの男の声が聞こえる。
 あの男はアンドロイドみゆゆの正体を知っているらしい。

 久遠が二条院の所へ戻ると、先程までの事が夢のように、白い肌のアンドロイドは蒸発していた。

 その場に立ち尽くしていると、ポケットの携帯が震える。

 画面を覗く。
 美優からのメッセージであった。

『お兄ちゃんとは上手くいった??』

『やっぱ無理だった』とだけ返信すると、すぐにまたメッセージが来た。

『どうして? 私のせい?』

 しばらく考えたが、結局そのまま携帯を後ろポケットにしまった。

 コンクリートの上、抜け殻のように残された上着をぼんやりと見つめる。
 あの白い肌は凍えていないだろうか。

 傷付いた身体でそう遠くへ行けるはずもなく、まだすぐ傍にいるかもしれない。が、一度逃れた美しいものをまた追いかけて捕らえるというのも残酷な気がして、久遠はその場にしばらく突っ立っていた。




【後書き】またまた遅くなりました(=o=;)
完結間近ってやつは気が緩んでだめだなぁ(TдT)
次回か次々回で完結〜ヤッター!!
少々長くても次回で終わらせたい気分……。

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アンドロイドボーイ[第26話]

【※注意※】性描写あり!! 成年腐男女以外は閲覧ご遠慮下さい!!



第26話『醜いもの』


どうしても逃げる訳にはいかない。
今久遠が逃げ出せば、二条院も二条院の本音も手の届かないところへ逃げ失せるに決まっている。

一歩後ずさった右足を踏ん張り、久遠は覚悟を決めた。

鉄パイプが音をたてて夜風を切る。
顔の前に腕をかざし全力スイングをまともに食らうと、二の腕と米神に激痛が走った。一瞬意識が遠退いた。

ふらつく視界の中で腕を伸ばす。
二発目を放たんとする鉄パイプをどうにかつかみ力任せに引き寄せると、「ぉわッ」と声をあげてバランスを崩した二条院がこちらに倒れ込んでくる。

小振りな肩を突き飛ばし、手から離れた鉄パイプを後ろへ蹴る。
地面に手をついて転がった二条院に久遠は覆い被さった。
もみ合いになりながら、ようやく白い両手首を捕まえてコンクリートに張り付けた。

「忘れられっかよッ!!」

息も絶えだえに叫び、久遠は二条院の顔を見下ろした。
うず高く積まれた段ボール箱が影になり表情は読み取れない。

「……忘れられる訳ねえだろッ! あんなにーー」

「飽きたから終わりにしたいって言ったのは、そっちだろ! なんなんだお前! 離せよっ!」

「それはーー」

「理由なんて聞きたくない! お前の事なんか、名前も顔も、全部忘れてやるっ! さっさと俺の前から消えろ! 金髪ピアス!」

「てめぇッ……!」

久遠の奥底で沸々と煮えたぎっていた何かが一気にかさを増し、吹きこぼれるように身体中に広がるのを感じた。

それは二条院と関わるようになってから、しばしば久遠の体内に本能の要求のごとく現れ、抑えきれなくなったらと思うだけでゾクリとする黒く醜い自分の一面であった。

あっけらかんとして冷めきっている事だけが取り柄の自分なら逃れられるだろうと、直視せずに高をくくっていた。その報いかもしれない。

「忘れさせて、たまるかッ!」

怒りにも似た欲求に支配され、久遠は叫んだ。

「離せッッ!」と暴れる二条院の身体に馬乗りになって体重をかける。ばたつく細い手首を折れそうなくらいコンクリートに押え付けた。

自由を奪われた姿というのは、こんなにも扇情的なものなのかと久遠は初めて知った。それが手に入らない愛しい相手となれば尚更だ。

記憶を無くすまで酒に飲まれた経験は無いが、酔いがまわって抑制が効かなくなるというのはきっとこんな感じだろう。

街灯の僅かな反射光に浮き上がる、しなやかなシルエットが、久遠の手から逃れようと苦しそうに吐息を漏らし喘いでいる。

久遠は欲するまま、乱暴に二条院の唇を奪った。

「んーーッ! やめっ……んん……!」

グロスのベタつきと化粧臭さに苛立ちを募らせながら、強引に舌を挿入して小さな口内を犯していく。

ワンピースに手を這わせて身体をなぞる。
暗闇の中で感触だけを頼りに、徐々に下へと手を下げていく。短いスカートのプリーツを通り越すと、ひんやりと柔らかな太股にたどり着いた。

スカートの中に手を突っ込んで、吸い付くような気持ち良い感触を堪能しようとするのだが、二条院はじたばたと脚を跳ね上げ、自由のきく片腕を振り回して抵抗する。

「やっ、やめ、ろッッ! ん……あッ、触るなッ……やぁーー!」
内腿を撫で上げて下着に手を入れると、二条院は焦った様子で久遠の手を下着越しに押さえてきた。

「うっせぇッ! 最後くらいヤらせろっ!」

押さえてくる手をはらい除けて、無理矢理下着を膝まで下ろすと、二条院は「ひゃッ」と言って息をのんだ。

また唇をつなげて口内を乱暴に掻き混ぜる。
そのまま顎から首筋へ舌で伝い、襟を引きちぎるように裂いて胸元をむさぼる。

「や、んッ……舐めるな…… いや、だ……!」

「なんだよ、感じてる癖に。二度と忘れない様にしてやる」
そう二条院の耳に直接吹き込みながら敏感な部分を弄ぶと、艶やかな髪がびくんびくんと震えた。
抵抗する声音にも悩ましい響きが混ざる。

久遠の身体も既に解放を待つまでに熱を溜め込んでいる。

下着が絡み付いたままの膝小僧を持ち上げ、空いた場所に自らの下半身をあてがうと、二条院は胸の高さまで持ち上げられた足首を蹴り上げた。
子供が駄々をこねるように首を何度も振って、怯えるような声を出した。

「……だ、だめぇ……翔!」

その名前を一生覚えていやがれと思う。
久遠は性急な手付きでベルトを外した。
制服のズボンと下着を一緒に下げ、高ぶったものに手を添え呟いた。

「大人しくしてろよ……」

我ながら、どうしようもなく興奮している。
暴走した身体はおろか激しい息づかいすら抑えきれない。




「や、ぁあアアァァッッ……!!」

容赦なく突き刺す。
強引に細い身体を割り開いていく。
悲痛な喘ぎが冷たい空気を裂くのも無視し、二条院を押さえ付けて固定し、腰を進める。
痛みのせいなのか細い腕からは力が抜けていった。

初めてな上に何の準備も出来ていない二条院の内側は到底狭く、久遠自身も息苦しさを覚えた。

ただ悪いことに、それは声が漏れるほど快感でもあった。
二条院の声にならない悲鳴も、無理矢理開かれ抵抗すら出来ない火照った身体も、今まで誰も迎え入れたことが無い空間とも呼べない窮屈な隙間も。
すらりとしたこの身体が何度も何度も背筋まで貫かれる光景は、どれだけ魅惑的だろうと思った。

久遠はふと気付いた。
自分は今、笑っているのではないだろうかと。




【後書き】
お久しぶりです。
久々の濡れ場に手間取っていたら、無茶苦茶更新が遅れてしまいました。すみません。

そして季節の変わり目恒例、喉痛にやられながら苦しい場面を書く苦痛よ……。自分も苦しかったらすらすら書けそうなものなんですが、苦しい時に苦しい事を書くと更に苦しみが増すとはね。せめて甘いラブシーンならよかったのに(;_;)
体質なのか毎年この時期から喉をやられます。症状が軽いうちからマスクして薬飲んで喉温めて寝てるんですが、一度なると数週間は回復しない(--;)
何軒も病院をまわった事もありましたが、もうどうしようもないのかね……。

挙げ句の果て、ここにきて今まで成功していた一文字下げが弾かれるとはねー(T-T)

今回はなかなかしんどかった……。
あ、また愚痴ばっかりに(*_*)
ではm(__)m

テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

アンドロイドボーイ[第25話]

 第25話『嘘』


 久遠 翔は山積みの段ボールに背中をぴたり張り付け、息を殺した。

 何度考えてみても、おかしい。
 一瞬両想いだと浮かれていたのは夢だったのか。

 両想いだと思っていた相手が超絶美少女に扮し、鉄パイプを引きずりながら久遠の命をつけ狙っているというのはどういうことだ。

 アンドロイドみゆゆとしてステージに立っていた事は大きな謎だが、そんなことよりも命を狙われる覚えはない。
 この途方もない行動。さすがあの二条院 学である。
 悪いことに相手はベストオブ凶器、鉄パイプを所持している。奴に最も持たせてはいけない物のひとつだ。




 あの瞬間。久遠はアクション映画さながらの機敏さで飛ぶようにして地面に転がり、頭上に振り落とされた鉄パイプを何とか避けきった。

 鉄パイプが直撃した段ボールには深く穴が開き、中から発泡スチロールの粒が粉雪のように飛び出し舞った。
 一見幻想的な光景ではあった。

 何とか体勢を立て直した久遠の目の前。短いスカートはためかせて、すたりと飛び降りてきたのは例の少女だ。
 逆光で表情が読み取れないままアンドロイドみゆゆーーの姿をした二条院 学はバッターボックスに入ったバッターのごとく、無言で鉄パイプを構えた。
 そして久遠に向け、迷いのないフルスイングを放った。

 久遠は仰反り、勢いよく背中から倒れて、またしても鉄パイプから逃れた。
 びゆんと重厚感のある風が頬をかすめる。
 すぐさま立ち上がりバランスを崩しながら、目の前に立ちはだかる段ボールの森に身を隠したのだ。




 追跡者の目前でここへ逃げ込んだのだから、当然向こうには久遠の居場所が分かっている。長く逃げ果せるはずもない。

 鉄パイプを引きずる殺人的な音が、冷たいコンクリートの上をゆっくりと這う。
 それはやがて息を殺して凍り付く久遠の傍らまで近付いてきて、止まった。

 万事休すである。

「お、お前。学……なのか?」

 斜め後ろに感じる気配に堪りかねて久遠はうわ言のように呟いた。
 すると不気味なほど静かな落ち着いた声が返ってきた。
 懐かしい二条院 学の声だ。

「言ったはずだ。俺の秘密を知ってただで済むと思うな」

「どういうつもりなんだよ、お前……そんな格好して」

 すると相手は激高した。
「お前の方こそどういうつもりだっ! 人の妹の部屋に勝手に上がり込みやがって! この変態野郎!」

 女装した男にだけは言われたくない言葉だったが、妹をもつ兄として怒る気持ちはよくわかる。

「そっ、それは……まあ、心配かけたのは悪かった。でも断じて、妊娠させるようなことは、してないからーー 」

「貴様ッ! 妊娠させなきゃ何してもいいって言ってるんじゃないんだぞ!」

「いやそういう意味じゃっ……! 確かに告白はされたけど……ちゃんと理由を話して断った。だから美優ちゃんには指一本触れてない」

「よくも妹を振っておいて、俺の前にのこのこと出てこられたなお前」
 二条院は吐き捨てるように言った。

 久遠は思い切って振り返り、二条院の前に歩み出た。

 街灯の薄明かりに照らされたアンドロイドみゆゆーー二条院は、腕を組んで怒り心頭と言わんばかりにこちらを睨み付けている。

 だが殺気立った感はない。
 こうして間近で見ると、可愛い少女がぷんぷんと腕を組んで怒っている健気な様子にしか見えない。鉄パイプはご愛嬌としておこう。
 到底男には見えず、もちろん少女の顔は存分に好みのタイプである。というよりは、よくよく眺めてみれば俺様メガネがメガネを外して化粧をしただけの顔だったので、久遠は何故だか安心した。

 それにしても違和感無く、よく出来ている。
 これは男にモテるだろう。
 怒っている顔や仕草も実にそそる。
 何よりも、その正体があの二条院 学であるところが良い。

「ホントに、お前がアンドロイドみゆゆ、なのか? 何でだよ……みゆゆは憧れのアイドルじゃなかったのかよ……」

 久遠が我にかえって聞くと二条院は押し黙ったままだ。
「美優ちゃんがすごく心配してた……お前がそんな事してるって知ったらーー」

「美優が? まさか。これは元々、美優が始めた事だ」

「美優ちゃんが?」

「ああ。最初は曲作りの練習だったみたいだけど、今はまあアイドルプロデュースの練習ってところか……」

「お前は妹のために、そんな格好で歌って踊ってるのか?」

「そうだ。悪いか? 俺は妹のためなら何でもするし、何でも出来る。それに俺は次期生徒会長を継ぐ男だ」
 二条院は堂々と言い放った。

 確かに現生徒会長の特技は女装である。学園祭のステージで踊る度に、悩殺されて叶わぬ恋に身を投じる男共が続出するのは事実だが、その恒例行事を継ぐ事が生徒会を継ぐ事になるのかは甚だ疑問だ。
 あれはただのラノベの読み過ぎだと、久遠は思っている。

「曲作りの練習って……。でも美優ちゃんはそんな事、一言も……」

「美優は上手いからな、嘘をつくのが」

 そう鼻で笑うのをじっと眺めてから「お前にそっくりだな」と久遠が静かに言うと、二条院はムッとした表情で眼を細めた。

「じゃあ美優ちゃんが言ってた、あれも嘘なのか? お前が俺のこと……本当は、好きって……」

 二条院は一瞬驚いたようだったが、何も言わずに顔をしかめて久遠から眼をそらした。

「さっきステージで言ってた、恋におちた相手って……俺なのか?」

「その質問に答える気はない」

「おいっ、逃げるなよ! ちゃんと答えろ!」

 久遠が叫ぶと、二条院はふいに持っていた鉄パイプにもう片方の手を掛けた。

「うるさい! 大人しく殴られて、さっさと俺のことは全部忘れろ!!」

 鉄パイプがガリリッとコンクリートを削る。




【後書き】 ね、眠い。眠すぎる。
あとちょっとで完結~♪と思ってたら、どうも心も文章も気が抜けてしまって……遅くなりました(-_-;)
おのれ……待ってたぜ、という方。もしいたら申し訳ないですm(__)mすみません。

おやすみなさい。

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