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アンドロイドボーイ[第27話]

【注意】性描写あり。成人腐男女以外は閲覧ご遠慮下さい。



第27話『別れ』

 
「ぁ……動く……なッ!」
 絶望に暮れた涙声で、二条院がそう呻(うめ)いたことは覚えている。もちろん無視して行為を続けた。

 ひんやりと肌触りの良い太股を割り開いたその奥は、煮えたぎるように熱く、絡み付くように蠢めいて久遠を煽った。
 血の滴る生きた肉を引き裂いていく興奮に溺れ、繋がってすぐ息つく間もなく久遠は身体を激しく揺らし始めた。
 暗闇の中で瞳を閉じ、己の快楽だけを追い求めていく。

 布が擦れる音。
 ベルトの金具がコンクリートを叩く音。
 獣のような自らの息づかい。

「ぅあァッ、あァッ、あぁァ……ぃッ!」
 悲痛な喘ぎを唇でふさぎ、口内をむさぼる。
 唾液と涙でべとべとに濡れた愛らしい顔を指でなぞる。

 途中、二条院の腕がしがみつくように久遠の背中にまわって爪を立てた。
 うわ言のように切なげな声で久遠の名前を何度も呼ぶので、久遠も熱くなっている小さな耳に直接「学……」と吹き込んでやると、二条院の身体は痙攣するように震えた。

 限界まで深く、細い身体の奥底を何度も突き上げる。
 何度も、何度も。

 小さな肩を強くつかんで押さえ付け、本能のままに身体を打ち付けた。

 あの切なげな声がいつの間にか途切れ、乾いた吐息になっていると気が付いたのは、絶頂を越えた後だった。
 惰性で揺さぶっていた二条院の身体はぐらんぐらんと力無く波打ち、知らぬ間に動かなくなっていた。

 終わったなーー。
 上半身を起こし、押さえ付けられたままの格好で動かなくなったシルエットを眺めた。
 これで今までの複雑な関係も、淡い恋心も、全てが消えた。

 繋がっていた身体をずるりと引き抜くと、細い足首がぴくぴくと小刻みに痙攣した。

 二条院の服装を整え、死んだ恋人を抱きしめるかのように久遠は二条院の身体をぎゅっと包み込んだ。

 夜の冷気はしっとりと重たく、火照った二人の身体に徐々に染み入り冷やしていく。
 こうやって抱きしめたまま、凍るように静かに消えてしまえればいいのにと思ったが、きっと二条院はお断りだと怒るだろう。




 どれくらい経ったのか分からない。
 二条院を抱きしめたまま随分じっとしていた。

 ふと大きな潤う瞳がこちらを見ているような気がして、久遠は目を開けた。
 暗い中に目を凝らすが、よく見えない。

「学……?」
 静かに呼んでみても反応がないので、頬にそっと触れてみると、長い睫毛がふわりと動いたのが分かった。

 ふうと息を吐き、さらさらとした髪に頬を寄せる。
 またしばらくそのままじっとしていた。

「学……。俺は、お前のことが……本気で……」
 言い訳をしたかったのか謝罪をしたかったのか、久遠が独り言のように呟いた言葉を、二条院が冷たい指先で遮った。
 そして静かな、凛とした声で二条院は言った。

「お前が、俺をどう思おうと、俺が、お前をどう思おうと……俺達は絶対、付き合えない。だから……お互いの気持ちを知るのは、無意味だ。知れば余計に辛くなる……」

 それは両想いという事なのだろうかと一瞬よぎったが、そんな事は二条院の言う通り無意味なのかもしれない。

 両想いになって付き合えるかもしれない、そんな希望は二条院を押し倒した時点で消滅していたので、大したショックも無かったが、あんな酷い事をされておいて一言も相手を責めないという二条院の態度が久遠にはきつかった。
 どうせなら、あんな事をするなんて信じられないと軽蔑されて、ことごとく嫌われる方が楽だろう。

「どうして、付き合えない? ……男同士、だから?」

 返事は無い。

 久遠が少し考えて「美優ちゃん、か……?」と聞くと、二条院はやはり何も答えなかった。

 恐らく後者だろうというのは久遠の勘だが、どちらにしても同じ。どうしようもない理由だ。

 妹のために自分の意思を曲げ、何かを我慢するというのはおかしい。間違っている。
 そう二条院の妹・美優は言っていた。

 そんな事は分かっているが、久遠が二条院の立場なら同じ選択をするだろう。
 妹と同じ相手を好きになってしまったら。

 二条院は黙ったまま久遠の胸板に強く顔をうずめた。
「お前も妹を持つ身なら、それぐらい察しろ」と言われているような気がした。

 所詮、兄として妹のために出来ることは、我慢くらいである。それが痛いほど分かるのだから、これ以上はどうしようもない。
 どうせ、もう終わったことだ。

 何も喋らなくなった二条院の身体をまた包み込み丸くなっていると、ビルの裏から足音が近付いてくる分かった。

「学ーーっ!」と、二条院の名前を呼んでいる。
 男の声だ。

 久遠の肩にくたりと顔を乗せたまま二条院は動かない。
 呼び声をやり過ごそうとしていると、悪い事に風に吹かれた鉄パイプが音をたてて転がった。
 久遠が背にする台車のすぐ後ろを通り過ぎようとしていた足音が止まる。

「いるのか? 学?」

 足音がこちらへ回り込んで来ると分かり、久遠はそっと二条院の身体を離して立ち上がった。
 上着を脱いで二条院に掛けてやり、足音の方へ歩いて行く。

 街灯の元に出て眼を細めると、こちらに歩いて来たのはあのマネージャのような男だった。

「学なら……ここには、いません」

 久遠がぼそりと言うと、男はあからさまに嫌そうな顔をした。
 そして疑った様子で久遠の背後をちらり覗き込むようにしてから、もう一度冷たい視線で久遠をひと睨みして、何も言わずに歩いて行った。

 姿が見えなくなると、また二条院の名前を呼ぶあの男の声が聞こえる。
 あの男はアンドロイドみゆゆの正体を知っているらしい。

 久遠が二条院の所へ戻ると、先程までの事が夢のように、白い肌のアンドロイドは蒸発していた。

 その場に立ち尽くしていると、ポケットの携帯が震える。

 画面を覗く。
 美優からのメッセージであった。

『お兄ちゃんとは上手くいった??』

『やっぱ無理だった』とだけ返信すると、すぐにまたメッセージが来た。

『どうして? 私のせい?』

 しばらく考えたが、結局そのまま携帯を後ろポケットにしまった。

 コンクリートの上、抜け殻のように残された上着をぼんやりと見つめる。
 あの白い肌は凍えていないだろうか。

 傷付いた身体でそう遠くへ行けるはずもなく、まだすぐ傍にいるかもしれない。が、一度逃れた美しいものをまた追いかけて捕らえるというのも残酷な気がして、久遠はその場にしばらく突っ立っていた。




【後書き】またまた遅くなりました(=o=;)
完結間近ってやつは気が緩んでだめだなぁ(TдT)
次回か次々回で完結〜ヤッター!!
少々長くても次回で終わらせたい気分……。

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コメント

Re: C様

C様♪
\(◎o◎)/!な、なんと! お忙しい中お越し頂いてありがとうございます!!
もう目の回る忙しさでしょうに…。

でも地元に戻れるのは嬉しいですよね〜♪
私も10年程地元を離れていましたが、離れてみて改めて地元の良さが分かりました☆
なんといっても安心感が違う!
そんな引っ越しの荷造りってワクワクしそう♪♪
私はもうこの先引っ越しは無さそう…そう思うとC様が羨ましいです(^_^)

お話の方はハッピーエンド……となるか分かりませんが、次回終了。
ちなみに大どんでん返しは無さそうですのでご容赦を^^;

お忙しいでしょうが、急に寒くなりましたのでどうかご自愛下さいませ〜☆
また余裕が出来てからでもお寄り頂ければ嬉しいです♪♪
荷造り頑張って下さいヽ(^o^)丿

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Re: けいったん様

けいったん様♪
コメントありがとうございます(^O^)/

大阪もだいぶ冷え込んできましたね〜(TдT)
これに合わせて本編も冷え込んだ内容に……切ないやね( ・´ω・`)

恐らく次回最終話!!
ラスト一話でハッピーエンドに持ち込めるのか!?ーーあ、ハッピーエンドとは限りませんなΣ(゚Д゚)
だってこの展開だしねー。
期待せずにお待ち下さいませ〜♪

うぉっ!「ア○ィーレに相談してみたら?」
これは関西限定ネタでは!??
「ハ○テン中古車セン〜ター♪」みたいな感じ??(笑)
え、まさか全国区なの…?(=o=;)

No title

学、怒らなかったね。
誹謗も中傷も 泣き叫ぶ事も無く 淡々としていて…

その反応が 何より辛いね、久遠

妹の為に身を引くなんて…
妹が知らないなら それも有りかもしれないけど、美優はもう 知っているのに(・´д)(д`・)ネー

アンドロイドみゆゆは、かぐや姫が 月に帰った様に 生まれた惑星に 帰ったのかな。。。
そして 学も…

2人の恋も これで 終わってしまうの?(泣)

「かぐや姫、債務が残っておるぞ!」
「ア〇ィーレに相談してみたら?」
… な~んてね(*ノ∀^)ノ゛))アヒャヒャ...byebye☆

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