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アンドロイドボーイ[第18話]

第18話『無視メガネ』 


 久遠 翔は今になって自覚していた。
 あれは完全な『片想いの末の失恋』だったのだと。

 二条院との奇妙な恋人関係を解消してから、今日で一週間になろうとする。
 別れてしまえばこっちのものだ。久遠は傷が癒えるのを日々教室の一番後ろの席に突っ伏し、じっと耐えていた。

 ところが一向に傷は癒えず、久遠の苦悩と苛立ちは募るばかりだった。

 なぜなら二条院 学はあれ以来、友達として接しようとする久遠を完膚無きまでに無視したからだ。

 これまでに二度送ったメールは勿論一方通行。休み時間に話しかけようと久遠が一歩踏み出すと、二条院は姿を消す。
 一対一で廊下をすれ違った時、一瞬目が合ったにも関わらず、まるで久遠が見えていないかのごとく、ごく自然に通過していった二条院の視線に、久遠は思わず絶句しその場に立ち尽くした。

 完璧に二条院の視界から久遠 翔の存在は消されていた。
 それだけではなく、あの不思議な関係ーーキスして抱きしめ合った甘酸っぱい過去も、全てが無かった事になっているのではないか。

 こんなはずでは無かった。
 ずっと友達でいられると信じていた。だからーー。

 こんな事になるのなら、駄目元で告白すれば良かった。
 いや、どうせ他人になるのなら、無理矢理にでもきっちり最後までヤっておけばよかった。
 それなら今からでもーー。
 能天気な自分に似つかわしくない、狂気のような怒りが込み上げる。




「二条院君、風邪かなぁ」
「さーどうだろ。ユイお見舞い行ってあげなよぉ。家すぐそこじゃん」
「あ、それいいそれいい! 行きなよユイ! 貸してもらったボールペン返しに行けば? チャンスかもよー」
「やだよ、わざわざ家にボールペン返しに来るの絶対変でしょ! それにまだ告るって決めてないし……ちょっと気になるって言っただけじゃん」
「ユイってさぁ、そういうとこあるよねぇ。成宮君の時も最初はそう言ってたよ?」
「そだよ、ユイぃ。はあ、私イヤだなー。また徹夜でユイの妄想話に付き合うの」

 机に突っ伏したまま耳を澄ませれば、女子達の話し声が聞こえてくる。
 最近女子の恋愛トークには、やけに二条院の名前が飛び交う。
 鬼畜で俺様メガネの癖に、実は結構優しい。そして奇跡的に遭遇する笑顔が某アイドル事務所に所属していてもおかしくない程、超可愛いくない? ともっぱらの噂。

「じゃあさー、成宮君と二条院君に同時に告られたらどうする? どっち?」
 乙女達の想像は果てしない。

「そりゃ成宮君っしょ!」
 そりゃそうだーー。
 ただし久遠は勿論、二条院をとる。
「でも次期生徒会長が彼氏ってのも、なんか萌えるよね」
「あっ サキ! 今の発言裏切りだよー! 成宮君のファンクラブ追放!」
「えー! やだぁ!」

 女子達の盛り上がりはとどまることを知らない。
 その会話の隅々に二条院の名前を探す自分が心底憎い。
 これから先こんな思いで生きていくのかと思うと、久遠は息をするのが苦痛になった。

 そして久遠は考え、決心をした。
 放課後、二条院の携帯に電話をかける事にしたのだ。

 二条院は今日一日学校に来ていない。
 皆勤が当たり前の生徒会役員が欠席するとは、余程の体調不良なのかもしれないと心配になり、昼休みに一度メールをしたが当然のように返信は無い。

 携帯にかけてみて、事と次第によっては本日分のプリントを家に届けてやらなくもない。

 しかしその目論みは実にあっさりと散った。
 着信拒否をされていたからだ。

 あのメガネ野郎ーー。
 正座で座らせて本気で説教してやりたい気分になった。
 それにしても、出会って以来徹底した極悪振り。一貫して信頼関係を築こうという気は無いらしい。

 これは直接問いただすより他無い。

 久遠は二条院の自宅へ向かった。




 二条院と彫られた表札を見つめる。
 インターホンのボタンを前にすると、さすがに弱気になった。
 あまりの苛立ちで考えもしなかったが、関係を解消しようと言い出したのは久遠だ。その場の勢いで冷めたとか飽きたとか、心にも無い事を言った。
 冷静になってみると、おかしいのは自分のような気がする。

 家の様子を伺うが、まだ夕方で明るい事もあって電灯はついておらず、人の気配はあるのか無いのか分からない。
 二条院の部屋はカーテンで閉ざされている。

 ポケットに手を突っ込みもたもたとしていると、背後で「あっ……」と声がした。




【後書き】
やっとここまで辿り着きました(^_^;)
もう18話とは……。

あ、旦那が寝室に上がって来そうなので寝たフリします。
おやすみなさいませ♪♪

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コメント

Re: けいったん様♪

けいったん様♪いつもコメントありがとうございます♪♪

そうなんです。久遠との恋人ごっこが効を奏したのか、実は二条院は少しずつですがモテ始めている……という事になっとります(笑) いやしかし、会員未知数のファンクラブをバックにもつ成宮には到底及びません……という事にもなっとります。
アイドルとクラスの男子を同じ次元で天秤にかけて楽しむ。不毛な妄想遊びは乙女のたしなみと言えましょう☆

この可哀想なチャラ男はどうなるのか、あと2~3回が山場かな(^_^;)
楽しんで頂けるよう頑張りますぜ!

またお待ちしています\(^o^)/

Re:C様♪

C様♪コメントありがとうございます♪

やっとここまで話が進みました(TT)
こうやってコメント頂いたり拍手頂いたりしてるお陰です!
ということで感謝の気持ちも込めて、少しでも早めにアップ♪

やっと起承転結の『転』……もうちゃちゃっと行っちゃいましょう!

それにしても相変わらず鋭いですな!!
やたらと苦労が多い彼、少しは報われるといいんですが(^^;
あと二回か三回は大きく動く予定♪
私も早く書いちゃいたいので、二三日中にはアップしたい!!

またお寄り下さいませ~\(^o^)/


No title

まさか 二条院が アノ成宮と並ぶほどの モテぶりとは~~~Σ(゚Д゚ノ)ノオオォッ

フェロモンだだ漏れ男の成宮と 真逆なタイプだからこそ 女子共は 惹かれるんだな!
(。 ・O・)ほほーっ(o-∀-)b))そぅかそぅか゚…それならば おばちゃんも納得だわ♪.

ことごとく 久遠を 視界に入れない 入れさせない二条院
はて、そこまで無視するとは 何故に (o'ω'o)?
もしかしてのもしかして 離れて分かる その存在 ってやつでしょうか!?
なら 良いけどねー

焦りと苛立ちで 二条院家に 特攻したくせに ビビッてんじゃねぇぞぉ、久遠~(◎`・ω・´)σ 君!
しかし キテレツなオタクでも 真面目な二条院だもの 家族も それなりに 由緒正しき人でしょ。
金髪+ピアスのチャラ男の久遠がを見て 二条院ママが吃驚しないかなぁ~?

16さま、寝たふりって~ (*≧∇≦*)ブヒャ!!!
我が家は ダンナのイビキと歯ぎしりが ハンパないので ダンナの寝室は ダンナの部屋です
グオオオッ~ {[((_ _)zzz ]} ギリギリッ~.(`皿´#)o"ウ、ウルサイ!!..byebye☆

 

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