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アンドロイドボーイ[第7話]


第7話『タブー』


触れた部分がぢゅっと音をたてて溶けてしまいそうな、禁断のやわらかさ。

一歩踏み出せば引き返せない、真空に吸い込まれるような恐怖。

ベタベタしたリップクリームや口紅の味か全くしない代わりに、どこか未成熟な青いリンゴの香りがする。

それが余計にいけない事だと感じさせ、久遠は息を振るわせて顔を離した。




二条院はといえば、何の反応も示さずに涙目のまま、ただぼんやりとしている。

有無を言わさず回し蹴りが炸裂するだろうと覚悟していた久遠は、少し拍子抜けした気分で、二条院を間近からしばし見つめていた。

「みゆゆを……」

消え入る声。
焦点の合わない面持ちで小さく言うのを聞いて、久遠は正直ムッとした。

今のキスに対する感想を期待していた訳ではなかったが、得体の知れないアイドルの名前を聞くよりは、回し蹴りをくらった方がよかったとさえ思った。

さすがと言うべきが、二条院のアイドル熱は冷めることを知らない。
こんな状況下においても。

「みゆゆを……本当の人間にしてあげられるのは、俺だけ、だから……」

何度聞いても、聞く度に引く。その話。

「だから……。みゆゆに好かれる人間になりたい」

溜め息を吐く。
どうせろくなもんじゃないと、久遠は内心思っている。
本当に二条院の言うような才能ある美少女なら、芸能界が放ってはおかない。ネットと現実は違う。
実はAV女優でしたという落ちも充分あり得る。

正直にそう教えてやらないのは、好みの顔に嫌われたくない下心と、どう考えても久遠の話が伝わることは無いだろうという諦め。両方だ。

「みゆゆと、付き合って……キスしたい」

素直な奴だなーー。
濡れた眼の縁をいっそう赤く染めて上気するのを眺め、そう思った。

「じゃあさ、もっと女心が理解できるように、ならなきゃな」

驚いたことに、甘ったるい声でそう発したのは久遠自身だった。

元来、裏表の無いさっぱりとした性格だから、人を騙すとか嘘をつくとか、面倒くさい思惑やら腹黒い策略とは無縁の存在であると自分で思い込んでいた。

今回の発端も、根本的にはただ仲良くなりたいという純粋な思いがあった。
もちろん、高校生らしい健全な下心は別として。

そんな自分でいられなくなったのは、目の前の可愛い顔があまりにも弱々しくて、今なら手に入ると本能的に感じたのかもしれない。

手が届く距離にある誘惑。

二条院の火照った頬に手を伸ばす。

絹のような熱い肌に触れ、ふっくらとした唇を親指でなぞる。

二条院が小さく息を吸い込む。

嫌がらないのを確認して、止血のため握っていた手をぐいと引っ張り、二条院の身体を引き寄せた。

「教えてやるよ。キスの仕方とか……いろいろ、さ」

耳元で囁くと、二条院の身体がぴくりとする。その反応に、自分でも驚くほど久遠の本能は満足した。

「付き合いたいんだろ? みゆゆと。ん?」

二条院の顔を覗き込む。
潤む大きな瞳がぎこちなく揺れるのを見て、口角が勝手に上がる。

きっと悪い顔で笑っているのだろうと自分でも思うが、まあその方が外見には合っているのかもしれない。
金髪やピアスなんてものは、常軌を逸するためにあるのだから。

抵抗出来ずにいる怯(おび)えた唇を舌でなぞってから、ゆっくりと繋げた。






【後書き】
お、今回は短く出来た!
やっぱりこれくらいの方が読みやすい!というか、読み返しやすい、私が!
ど、どうなんでしょう……どれくらいの人が読んでるのか知りませんが(-_-)

会話メインでって言ってるのに、今回の会話の無さとかさ。

次話はもしかしたら週明けかもしれません☆
なんと明後日、誕生日を迎えてしまうので……沈むな、この歳になると。

1日休みをとってくれる優しい旦那さんですが、どうも最近、私のBL活動に気付いているような(-_-;)気のせいであってくれ。
だってもう管理画面をスマホでログインしっぱなしとかだしさ。

もし気付いていて、この文章を読んでいるのならーーあなたの妻は健全なBL愛好家なので、安心して放っておいて下さい。二階に隠してあるエロ本に対する私の批評とコメントを聞きたくなければ特に。

ま、問い詰められても「なにそれ?」って私は笑うけどね。
愛してるよー☆

では。
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