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アンドロイドボーイ[第6話]

第6話『反撃』


気の強さと、信じ込みやすい性格が出ているからだろうか。
どうも、いけない事をして困らせてみたくなる顔だと、久遠は思った。




「やっぱ、見てわかるものか? 彼女いないって……」
落ち込んだ様子で二条院が言った。

「まあ、だいたいな。
俺のこと見て、どう思う? まだキスしたことありませんって感じに見えるか?」
ベッドの縁にもたれ掛かり、からかうように久遠が聞くと、二条院は不貞腐れるように押し黙る。

「見え、ない……」
しばらくして口を尖らせながら言うのが可笑しくて、久遠は笑った。

「だろ? これでも三年半付き合ってた彼女がいた。ちょっと前に別れたけどな。
ま、恋愛の経験値ってのは、見た目と性格でだいたい分かんだよ」

「三年半……、 じゃあ中学の時から?」
「まあな。幼馴染ってやつ? よくある話だけどな。
でも残念だったな、勉強も運動もお前より出来ない俺の方がモテるなんて」
ざまあみろと笑ってやったが、その相手と、止血のためとはいえ手を繋いでいるのだから間抜けな図だ。


「やっぱ……楽しいか? その、女子と付き合うって」
聞きづらそうに二条院が口ごもる。

「まあ……楽しいっちゃあ楽しいかな。いろいろ出来るし」

「いろ、い、ろ……」
そう言って二条院は口元を押さえた。

何考えてんだよーー。
首が真っ赤に染まっている。
どうやら第二次成長期まっただ中にいるらしい。冷めた久遠からすると羨ましい限りだ。

「おい、やめろよ鼻血とか……」
これ以上血だらけになられては、たまらない。

「あれ、でもお前、誰かと噂になってなかったっけ……あ、佐藤? 貴崎と別れてから、いろんな奴が告ってるって聞くけど。お前、告ったんじゃねえの?」

すると二条院は気まずそうに言った。
「佐藤さんは……生徒会が一緒なだけで……別に、告白とか、そういうんじゃない。それに好きな人いるって言ってたし」
「誰だよ」
「さあ……。どうせ成宮とかだろ」
「まあ、成宮嫌いな女子いねぇわな」
「あれは……成宮は、反則だろ。
つくり物じゃないっていうか……」

「つくり物?」
「だって、あの茶髪は地毛だろ? 染めてる訳じゃなくて。
瞳だって、カラコンじゃなくて、もともと茶色だしさ。顔も性格も良くて、なんかズルいっていうか……」

それから久遠の方をじっと見て言った。
「モテるために必死で金髪にして、ピアスしてる奴だっているのにさ」

「お前、学校では真面目くさって偉そうにしてる癖に、結構イヤな奴なんだな。
でも成宮は付き合ってる奴いるだろ」

「そ、そうなのか? 難攻不落だって有名なのに。どんな女なんだ? モデルとか?」

さすがにその気の無い奴には分からないものなのかと、感心した。

久遠はなにも成宮の彼女を直接見たわけでは無い。

ただ、同じクラスメイトの貴崎という男子が最近やけに可愛く見えてきて、試しに話しかけてみると、案外会話が進んでいい感じにーーと思っていたら、背中に殺気を感じた。それが成宮だった。

その事があってから意識して見ていると、どうやら二人は付き合っているとみて間違いない。それも、貴崎の初々しい反応からすると、二人はまだヤっていないとみた。貴崎はそういう事には疎(うと)そうな気もするが、まあ時間の問題なのかもしれない。

正直いって、羨(うらや)ましい。




「で、結局。お前は好きな女子とかいないわけ?」

すると二条院は頬を赤くして、きっぱりと言った。
「そりゃあ、もちろん。
みゆゆに決まってるだろ……」

ああ、忘れていたーー。
奇跡的に会話が噛み合っていたので忘れていたが、こいつはアイドルに恋するイタい男だった。更に、そのアイドルがアンドロイドだと本気で信じているのだからゾッとする。

ただ、眼の縁まで赤く染めている真剣な顔は悪くない。

「二条院。これだけは言っとく!
超絶美女……何だっけ? ああ、美少女? いや、いいよ、もう何でも。
その超絶美少女みゆゆが、もしうちのクラスにいても、まず好きになるのは成宮の事だ。お前じゃないからな。忘れるなよ」

「みゆゆを、そんな普通の女子と一緒にするな!」
怒った顔も、なかなかいい。

「あのなぁ、そんなだから彼女出来ないんだろ? 好きだからって理想化しすぎなんだよ。
みゆゆだって普通の女の子に決まってるだろ。トイレだって行くし、牛丼だって食う。
カッコイイ奴に触れられたらキャーキャー言う癖に、オタクとかそういう奴には、近付くだけでキモい死ねって吐き捨てんだよ。女ってそういう生き物なんだよ」
少なくとも久遠の元カノと、双子の妹はそうであった。

「みゆゆは……そんな女の子じゃ、ない」

「もっと現実見た方がいいって。じゃないと、この先ずっと彼女出来ねえぞ」
二条院は肩を落として、うつ向いた。

勝ったーー。
不条理に受けた回し蹴りと、ナイフが飛んできた一件。そしてリンゴの掃除をし、今こうやって話しながらも止血のために手を押さえてやっている事への感謝の無さ。これら全ての事に対する仕返しだ。




「うわ……泣くことないだろ」

「泣いてない。これは……リンゴの果汁だ」

久遠が想像していた以上に、みゆゆへの想いは強いということか。
両膝を抱いて涙目になる二条院を、久遠はしばらく見つめた。

ドクンと一度、高鳴る。

強情な顔付きでツンとしている癖に、眼が真っ赤なところが、煽情的でそそる。

握っている手に、力がこもる。

駄目だ駄目だと思いながら、身体が動く。

「なんかさ、お前見てると、変な気分になる……」

久遠は呟(つぶや)いて、二条院にそっと顔を近付けた。

遠いと思っていた距離が不自然にも、息づかいを感じるまでに縮まる。
顔を上げた不思議そうな表情と、無防備な唇がそうさせた。

相手のことを散々言ったが、自分も相当おかしいと思う。

また回し蹴りをくらう覚悟で、久遠は薄ピンクの唇に、キスをした。







【後書き】
この間の夏祭りは、ゲリラ豪雨でもう地獄でした。

やっとBLっぽくなってきたと思ったら、もう6話なんですな……。
なんかどんどん文章が長くだらだらなっていってる……というか内容もこんなんでいいのか、私。

次話は2~3日中に更新予定です。何も無ければ、ですが。
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テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

No title

ナンダカンダと ありましたが、
結局 久遠は あの教室で 一心不乱に踊る二条院に 一目惚れしたってことなんでしょ♪
ヲタクだろうと 奇々怪々なリンゴの剥き方を してもね(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪

二条院の初キス(←たぶん…きっと…絶対に!)の相手が 同性だなんて しかも 久遠だなんて~~
ちょっと 可哀想じゃないの?
( ; ´Ω`)(´Ω` ;)ねぇ...byebye☆

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