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アンドロイドボーイ[第4話]


第4話『青リンゴ』

手には何か鋭く光る物がーーと思ったら、それはサバイバルナイフだった。

久遠は後ろに手をつき、座ったままゆっくりと後ずさる。

すると二条院が、こちらに手を伸ばして、つかみかかって来た。

「……ッッ!!」

久遠は腕を顔の前にかざして、背を丸めた。

どんっと一度ぶつかり、すぐさま二条院の身体は離れていく。

とっさに上半身を確認したが、どうやらナイフは刺さっていない。

二条院を見上げると、先程の『裏アイドル図鑑』を抱き締め、立っている。

「か、勝手に見るな……」
絞り出すような小さな声でそう言うと、雑誌を背中の後ろに隠した。

「わ、わりぃ……。たまたま、見つけちゃって、さ」

雑誌を背後にぎゅっと握りしめたまま二条院はゆっくりと座り、床に転がっていた青リンゴを拾った。

顔をしかめている。
こんなに動揺している表情を初めて見たので、久遠は繁々と俺様メガネをながめた。

「お前って、そういうの好きなんだ……意外だな」
久遠は姿勢を戻して座り、ベッドの縁に、もたれ掛かった。

「好きとかそんなんじゃない。
宿命だ、これは」

「みゆゆって、それ、ゲームか何かのアイドルか?」

「みゆゆは……っ!」
遮るよう言った二条院は一度言葉を切り、真剣な顔付きで話した。

「みゆゆは、ただのアイドルじゃない。もともと動画サイトから始まって、歌も踊りもレベル高いから、ちょっとずつ口コミで人気出て……」

「でもそれ、CGか何かだろ?」

「違う!! 確かに最初の方は、あまりにも可愛いから、そんな噂も出たけど。でも違う! みゆゆはちゃんと実在する! ライブだって何度か
ーー」
「わっ、わかった! わかったから、ナイフ置けって! ナイフ!」

二条院は一度深呼吸をしてから、ナイフを青リンゴにあてる。
「みゆゆの歌と踊りは、加工されたものだって言う奴もいるけど、あれはちゃんとみゆゆ本人が歌って踊ってるんだ。俺にはわかる……。もうすぐ、またライブだってあるし!」

「へぇ、ライブ……。やっぱ、行ったりするわけ?」

もちろんと、二条院は頭を深く振った。

「あ、もしかして、あれか? 例の、教室で踊ってた、お前のハートはどうのこうの叫んでたやつ。あれライブで一緒に踊るとか?」

「ファンなら踊れて当然だ」

「へぇ」と納得し、久遠は二条院の手元に、恐々と目をやった。

「……お前って、リンゴ毎回そういう風に剥(む)いてんの?」

「他にどうやって剥くんだよ」

そう言ってる間にも、二条院のしなやかな指に血がにじんでいく。

シャッシャッと音をたてて、まるで串に刺した丸肉を削ぎ落としていくかのように、青リンゴの皮が剥かれていく。

細い葉っぱの形をしたリンゴの皮が、紙の上に転がる度に、こちらに刃先が向くので、久遠は心穏やかではない。

リンゴの皮剥きとは、こんなにもスリルに満ち溢れた行為だっただろうかと、幼少期の記憶をたどった。

問答無用でさばかれていく青リンゴと、当然のごとく血に染まっていく白い人差し指を見ていられなくなった久遠は、さりげなく顔を背けて目線を窓の方へ向けた。

「みゆゆの歌と踊りは作り物なんかじゃない! みゆゆは実在する……本物の、本物のアンドロイドなんだ」

「アンド、ロイド?」
窓の外を見つめたまま久遠は復唱した。

「そう。超絶美少女アンドロイド。
今はアイドルとして、ファンのハートを盗むのが仕事だけど、いつか本当の恋に落ちたら……そしたら、アンドロイドから、本物の人間になれるんだ」

アンドロイドのくだりでつまずいたので、そこから先の話があまり入ってこなかったが、それでも久遠の引きは相当なものだった。
それはもう、今朝からの疲れが一気に出たように、どっと気分が沈んだ。

まさか同級生の男子から、妖怪人間的なアイドルの話を熱く語られるとは思ってもみなかった。
それも、本人は至って真剣である。

なんて痛い奴なんだお前と言ってやりたかったが、まだナイフを握っているのでやめた。

「へぇ、いろいろあるんだな」と返すのが精一杯だった。

「みゆゆが表舞台に出てこなっ、い、のはーーッ……」
視界の端、リンゴの皮を剥く二条院の手に力が入る。
歯を食い縛って、固い物を押し切るかのごとく、ナイフに力を込めている。

なんでリンゴ剥くのに、そんなに力がいんだよーー。

嫌な汗が出てきた。
ゆっくりと身体の向きを変えて、視界から二条院の姿が消えた、その時だった。

「あっ」

ぐじゅっ。

手の甲に生暖かい塊が飛来(ひらい)。

そして鋭く光る、刃渡り15センチが、あざやかに回転しながら、久遠の頭上を舞った。







【後書き】お待たせしました……いや、それほど待たれていないはずだ!

下の子が生後8ヶ月にして、初めての発熱★
三日続いた高熱がやっと引いたと思ったら、ぶつぶつが……やっぱり突発性発疹だったか。
そしてこのぶつぶつマンが超ご機嫌斜め(´Д`)

次話は、まあ今週中にでも♪
今のところ、全然BLでも18禁でもないこの話……なんか不安になってきた(@_@;)

あ♪ 読者様に教えて頂いて、一番上でスクロールしてたPRを非表示にしました♪♪
私自身は管理画面しか出入しないので、教えて頂いて助かりましたo(^o^)o
また何かありましたら、皆様よろしくお願い致しますm(__)m

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テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

No title

二条院くんの熱く熱く語る「あゆゆ」の事といい、、リンゴの剥き方といい、
久遠じゃなくても 私も引くわぁーーΣ(゚Д゚ノ)ノ ヒィィィィ!

でも 文武両道の俺様メガネ君が、どうして そこまで 「あゆゆ」に のめり込んだのか 理由が知りたい!
まぁ 好きになるのに 理由は有って無いものですが。。。
( *  ̄0)≪≪≪あゆゆ~♡...byebye☆

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