アンドロイドボーイ[第1話]

BL大好き腐男女以外はご遠慮下さいますよう、お願い致します。




第1話『アンドロイドの大罪』


途切れる間奏。
Cメロ。

そのままラストのサビ。

―― もう一度ドキドキさせてあげちゃう
アンドロイド キス
とびきりのスリルで

甘い秘密にはまるがいい
機械仕掛けのハートを見くびるからよ

あなたのキスで目覚めさせて
本物の身体 本当の恋 ーー

伴奏。

正面に指を差す。
ここでセリフーー。

『狙った獲物は逃がさない!
既にお前のハートは私のものだ!!』

二拍止めて、ステップ。
決めポーズ。

瞳を閉じる。
たっぷりと余韻を残す。




完璧だーー。

誰もいない教室。
二条院 学(にじょういん まなぶ)は、一人悦に入り、瞳を閉じたままニヤついた。

疑いようのない、完膚なきまでの仕上り。
途中テンポの速い部分のステップは苦労したが、我ながらよく覚えた。

それにしても、なんて男心をくすぐる甘い歌詞。愛らしい美声。
やっぱり『みゆゆ』の曲は最高だ――。

前回のライブで味わったあの興奮、一体感がよみがえる。
また『みゆゆ』に会えるなんてーー。

間近に控えたライブに心踊らせながら目を開けると、いつのまにか教室はオレンジ色に染まっていた。

ぼやけた視界に、差し出した腕。
横目にうつるドア。
射し込む夕日。

逆光の中で、立ち尽くす人影ーー?

二条院はぎろりとそちらに視線を流し、目を細めた。

見られた――?

影の大きさからして、自分より背が高い事だけは、はっきりと分かる。

誰もいない夕暮れの教室。
黒板の前をステージに、アイドルの振り付けを練習して何が悪い。

殺人現場を見たかのように微動だにしない目撃者に気が付いても、二条院は全く慌てることは無かった。

それどころか、ふうと余裕の息を吐いてイヤホンのコードを握り、耳から引き抜いて音楽プレーヤーに丁寧に巻き付けた。

それから落ち着いた手付きで、眼鏡をかけた。

輪郭を取り戻した教室の中で、ドアの所に立つ人影をもう一度ゆっくりと眺める。

よりによって――。そう思わなかったと言えば嘘になるが、二条院は毅然とした態度で、携帯を取り出した。

もうこんな時間か――。

カバンをかけ、後ろのドアから廊下に出る。

ずっと立ち尽くしていた人影の後ろを通り過ぎようとすると、その人影は「おい」と真剣な眼差しでこちらに向いた。

「お前……なんか俺に対する言い訳とか、ねえの?」

二条院は足を止めて振り返る。

「何が?」
「何がって……さっきの。
見せられた俺の方が恥ずかしい思いしたんだけど」

そいつは眉をひそめて深刻そうな顔をしている。

「じゃあさっさと忘れろよ。金髪ピアス野郎」

「あぁ?」

金髪ピアスの顔が歪む。

「お前なぁ、そんな口利いていいわけ? さっき見たこと言いふらされたらヤバいとか考えねえの?」

その時、向こうの方から声がした。
「久遠ぉ、まだかぁー!?」

「おお、今行くーー!」と金髪ピアスは叫びながら、二条院の手から素早く携帯を抜き取った。
ドアに腕をかけ、声のした方をちらちらと確認しながら、慣れた手付きで二条院の携帯を操作する。

「ん」と言って携帯をこちらに返す。

そして不敵に微笑み、歩いて行った。







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コメント

No title

(○'ω'○)ん? 久遠…久遠…何所かで 聞いた名前…

む~ぅ(・´д・`;)ゞ いつだった? どの場面だった?

Σ(|||▽||| )ズガーン さっぱり思い出せない!!

まっ 楽しく読めれば いいか♪
16様、 それで いいよね~d(≧ω≦)ネッネッ...byebye☆

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