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二度瞬く[最終話]

『二度瞬く』


 カーテンに隠れるようにして顔を覗かせた貴崎は、氷のように冷たい窓ガラスに手をあて、息で白く曇らせながら背伸びをした。
 曇ったガラス越し――遠くに見える境内に視線を素早く走らせる。

 一月一日。
 元旦の境内はたいそうな賑わいである。

 参道に大蛇のごとくうねる人の列。社務所の軒下でざわめく多くの人影。
 目を細めて、見渡せる範囲にうごめく顔を瞬時に確認するが、貴崎が探している人物は見当たらない。

 はあと溜息をつくこと数十回。
 今朝からこれの繰り返しだ。

「おい……、祐。CMや!」  

 背後からの邪険な呼びかけに振り返ると、そこには偉そうな小型犬が寝そべってコタツから顔だけ出している。
 窓の外をもう一度だけ名残惜しく振り返ってから、リモコンを掴んでテレビへ向けた。

 CMがスキップされて番組が再開されると、飼い犬マルの下品な笑い声がまたもや四畳半に響きわたる。
 そのつぶれた顔面を横目で睨み、貴崎はコタツの上に顎をのせて深く息を吐き出した。




 七日前まで、貴崎祐は死んでいた。
 
 夢のような話である。
 自分でも悪い夢だったのではないかと疑いたくなるが、そうではなかったという確かな証拠が、今現在目の前で昨夜の録画番組を見て、器用に前足の肘をついて笑い声をあげている。

 死んで以降、幽霊らしい透けた身体で七日間を過ごしてから、なんとも奇奇怪怪な成り行きで時間が巻き戻り、気がつけば七日前の朝、鳥居の前に間抜け面した生身の姿で突っ立っていた。
 時間を巻き戻すなどと、当然正当な手段を使ったわけでもなく、言わばこの世の未完成な部分につけ込んだ裏技のようなものを使って生き返った。

 なんだ、案外簡単だった。
 結局は運さえ良ければ何でもありなんだなと安心しきっていたら、本当に大変だったのは生き返ってからの七日間である。 
 
 あまりの嬉しさに、戸惑う幼馴染に抱きついたあと、それから意識は途切れた。
 気がつけば病院の治療室に寝ていて、家族全員――父と離婚し海外にいたはずの母までもが貴崎の顔を心配そうに覗き込んでいた。
 首は少し動かしただけで声を発してしまうほどの激痛が走るし、歩くなど到底不可能なほど身体が重たい。ひどい吐き気もする。
 このまま激痛と不随の身体で一生を過ごすのかもしれない。
 まさに死ぬほど――いや死ぬ時の方がまだ楽だったと思えるような状態だ。
 
 ところが精密検査を繰り返したのち、「どこも悪くないんだけどなぁ」と首をひねる医者の指示に従って――本人が希望したこともあって、二三日入院した後、貴崎は自宅安静となった。
 家に帰ってからもしんどい日々は続いたが、父と母の手厚い看病と、兄が何も手出ししてこなかった事が功をそうして、やっとここ数日は普段どおりの生活が出来るようになっている。
 
 ただ問題はこの犬だ。
 貴崎の身体を気遣う家族の中で、唯一貴崎を召使のようにこき使う。
 会話が出来るからといって、この真冬にシャンプーをしろだの、おせちを食わせろだのと煩くて仕方が無い。

「やっぱ山ちゃんは最高やなぁ……」
 今も犬らしからぬ独り言を口にしている。

 突然、がらがらと玄関の戸が勢いよく開いた音に、貴崎ははっと身体を縮めた。
 もしかしてと思ったのも束の間、廊下を歩いてくる引きづるような足音で、そうではないとすぐにわかる。

「ちくしょう……寒ぃ」
 襖を開けるなり、そう恨みがましく言って貴崎を睨みつけながらコタツに潜り込んだのは、袴姿の兄だ。

「いいのかよ、店番サボって」
「うるせぇっ! じゃあお前が行け! 何のために袴着てんだよ」
 痛いところをつかれ、貴崎はそっぽを向いて袖をコタツの中に潜り込ませた。

「いいんだよ、あの二人にやらしときゃ。上手くいけば、俺らの家事の負担が減る」
 置いてある煎餅をつかみ取り、ニヤつきながら兄が言う。
 言うほど大した家事なんてしてないじゃないかと言ってやりたいが、ここはぐっと我慢した。

 今社務所で店番をしているのは父と母の二人。
 確かに兄の言うとおり、二人が復縁してくれると貴崎の家事負担は格段に減る。
 
 約十年ぶりに帰宅した母は、小麦色のよく焼けた肌に年齢を感じさせないあっけらかんとした元気な笑顔で、体たらくだった男三人の家庭を明るくした。
 自分を含め、いい歳をした男三人が全員、まるで初恋をした幼稚園児のようにどぎまぎとしては母の背中を目で追っているから情けない。
 父に至っては、いつも以上に平然を装っているが、離婚して十年以上も経つというのに、実は母に未練が大有りなのだ。

「ぅわっ!」
 何の前触れもなく股の間に大きな違和感が出現したので、貴崎は思わず声をあげた。

「変なとこ触んなよ!」
 慌てて両足を閉じ、コタツの中に突き出た足袋を追いかけて思い切り蹴るが、悲しいことに足を引っ込められると、こちらの方が短いので届かない。
 最後にはコタツの中に頭をつっこみ、全身を使って力任せに蹴りを入れる。
 コタツに兄が入ってくると毎回このやり取りが待っている。

 尻や内腿や敏感な部分に足で触れてきては、怒る貴崎を見てニヤニヤと面白がっている。
 貴崎が倒れて以降、ちょっかいをかけてくることもなく大人しくしていたので、すっかりその本質を忘れていた。

 アホ、馬鹿、変態と一通りののしって貴崎の気がすんだころ、マルが「おい……」とすまし顔で、何かの合図を送るようにちらりとこちらに目をやった。
 もちろん兄には犬の言葉など分からない。

 貴崎は「ああ……」と、かしこまって座りなおした。

「あ、あのさ。そういや、大事な話があるんだった」
 貴崎が改まった声で言うと、兄は不審に眉を寄せて起き上がる。
「……なんだよ」 

「マルのことなんだけどさ……。実はマルチーズって犬種じゃなかったんだよねえ――、だからマルっていう呼び方も……」 
「はあ? なんだよそれ」
 くだらないと言わんばかりに、またコタツに潜り込もうとする兄を呼び止める。
「いや、大事な事なんだって!」
 飼い犬が言うには、そうらしい。

「マルチーズだろ……それ、ってかどうでもいいし。じじいのじじいの代から飼ってんだから間違いねえ」
「おかしいだろ。じじいのじじいの代から飼ってる犬なんて。どんだけ長生きなんだよ」
「知るか。知らない間に世代交代してんだろ」
 貴崎が思うに世代交代なんぞはしていない。
 やっぱりこいつはマルチーズはおろか、もはや犬でもないのだろう。
 横目で見ると、いつのまにか気持ち良さそうに涎を垂らして寝ている。

「とにかく……、マルチーズじゃないんだって! それだけ言っとく! じゃないと俺が怒られるからな」
「は? じゃあなんなんだよ。この不細工な犬は」

「だからこれは……、ぱ……、ぱ――」
 パ……?
「ぱぁ?」

「パ、ピヨン……?」
 では無かったような気もするが。まあ、いいか――。

「まじでか……、今流行の!?」
 驚いた顔の兄を見て貴崎は何となく満足がいった。

 とりあえずマルチーズではないという事だけは伝えたから充分だ。
 父はマルのことを犬君と呼ぶし、母もバウちゃんという独自の呼び方をしているので、兄にさえ伝えられたら任務完了。貴崎の役目は終わった。




 チャイムの音――。
 
「あの、すみませ――ん」

 聞き覚えのある声にはっと顔を上げる。
 冬馬だ――。

 はやる気持ちを抑え、少し襖を開けて顔を出すとやっぱり――あの顔がこちらを見ている。
 
「あ、貴崎……。あけましておめでとう。こっちにいるって聞いたから……、もう身体はいいの?」

 ひゃっと声をあげそうになる。
 心待ちにしていたくせに、いざこの事態になるとどうしていいのか分からなくなって鼓動だけが高鳴ってゆく。
 
「よお、冬馬か。上がれよ」
 顔を熱くして押し黙ったままの貴崎の後ろから、兄が座ったまま廊下に顔を覗かせて言った。
 その言い方がなんとも馴れ馴れしくて気に食わない。

 貴崎は素早く部屋に一度引っ込み、コタツの中からマフラーを引っ張り出して廊下に走り出た。

「もう、外に出て大丈夫なの?」
 心配そうに言う冬馬を直視出来ないまま、マフラーをぐるぐる巻いてぶっきら棒に首を縦に振る。

「おい!」と後ろから無愛想な声がかかり、廊下の奥から何かが床を滑ってきた。
 たぐり寄せてみると兄が着ていた羽織だ。とりあえず着ておこうと袖を通す。
 袴姿にぐるぐるマフラー、長い羽織では少し不恰好だが仕方ない。

 外へ出ると寒さで肌が痛い。
 大晦日に降った雪が薄くつもり、日光を浴びてきらきらとろりと消え始めている。
 白くて丸っこい息が、なんだか生きている証拠のような気がして貴崎は嬉しくなった。
 ぎゅうと音をたてて雪の上に草履の跡がつくのも楽しい。
 子供のように夢中になって、まっさらな雪の上ばかりを選んで歩いていたら、いつのまにか冬馬の袖をつかみそうになっている事に気がついて、あっと手を引っ込める。

 優しい瞳と目が合い、頬が焦げる様な気がしてまた顔を伏せる。
 
 どうも生々しくていけない。
 すっきりとした胸板や、長い指、端整な作りの顎ラインから首元を横目でちらちらと盗み見しては息を漏らしそうになる。貴崎の記憶が確かなら、これら全てが貴崎の身体を全霊で愛でていた事があった。
 さらさらとした広い胸板、宝石を扱うような手付きで貴崎の肌に触れてくるあの長い指……その全てが、まさに夢であったと思えるほど、今の二人の距離感は遠くて、どこかよそよそしい。

「何度か見舞いに来たんだけど……貴崎、しんどくて寝てたみたいだから」 

「ああ、うん。知ってる……」

 本当は会う勇気が無くて寝た振りをしていただけだ。
 入院中も合わせると、冬馬は七日間の内に四度見舞いに訪れている。
 内一度は貴崎の元彼女――この時点ではまだ彼女だったか――が一緒に来たので、余計に会う事が出来なかったし、内二度は見舞いに来てから長い時間家族と楽しそうに雑談していると思ったら、兄の自室へ二人で消えていったものだから、気が気でなくて体調にすこぶる悪かった。

 鎮守の森に踏み入ると、そこは手ですくってみたくなるような真新しい雪で満たされていた。
 一年を通し決して優しさを感じさせないこの冷たい静寂が、貴崎にはしっくりとくる。
 
 自分が犯した過ちも悪行も、あの巻き戻った七日間も、この森は全てを知っているに違いない。そして、ただひんやりと静観している。
 偽ることが如何に無意味かを思い知らされる聖域。
 
 一度この世の者ならぬ存在となった貴崎にとって、ここは同じ種のテリトリーのように思える。
 貴崎が淡水魚なら、ここは澄んだ真水が湧きだす深海の底である。
 
 無言のまま森を進んで山道にさしかかると、貴崎の身体は幾度と無くふらついて冬馬を慌てさせた。
 



「わぁ……久しぶりだね」
 清清しい表情で幼馴染が言った。

 息を切らせながら小さな社を振り返ると、やはり石台に鎮座しているはずの狛犬は不在だ。
 顔が崩れたあの狛犬。まだ居間のコタツで涎を垂らして寝ているのだろう。

「貴崎、もう何でも食べれるの? 一応コンビニで買って来たんだけど……何がいいのか分かなくて」
 石階段の一番上に腰を落としながら、冬馬は手にもっていたコンビニの袋を貴崎に差し出した。
 無言で受け取り中をのぞくと――やっぱり。
 去年と同じように棒にささったミルクアイスが入っている。
 極寒の冬、病み上がりの同級生への差し入れとしてはいかがなものか。

 それでも何故か貴崎の中は満たされていく。
 冬馬の隣に座り、銀紙を剥いでアイスを口にふくむ。
 
 雪化粧したジオラマの景色を眺めながら舌を動かしていると、痛いほどの横からの視線を感じたので、キッと隣を睨みつけた。

「お前……今、へんなこと想像してるだろ?」
 
「えっ……! え、何? お、俺、なにも――。へんなことって、そんなの、全然……、ただ――」 
 
 うろたえる冬馬をじっと見つめていると、目のやり場に困ったらしい冬馬は、落ち着かない様子で遠くの景色を眺め始めた。
 そして小さく、あっと声を漏らした。

「ほんとだ……海が見える」

 囁くようなその独り言を聞いて嬉しくなった貴崎が微笑むと、冬馬の視線はたちまちそちらに吸い取られる。

 そう。そうなんだ――。
 
 今日始めて冬馬の中に海が出来た。

 貴崎の笑顔にうっとりと見入っているらしい冬馬は、ほどなくして少し悲しげな表情で前を向いて座りなおした。

「佐藤もずいぶん心配してたよ。貴崎にすごく会いたがってた」 
「ああ……うん」と冴えない返事をしたあと、貴崎は少し間をあけてから思い立ったように言い放った。

「――別れたんだ、昨日」

 もう知っているのかもしれないと疑っていたが、どうやらその予想は外れたようで、成宮は開けたばかりのペットボトルの紅茶を一口も飲まずにまた蓋した。

「う、嘘……ど、どうして?」

 悪戯心に火がつき、意味深げに褐色の瞳を覗き込んでやると、明らかにそれはびくびくと怯えていた。
 
 お前のせいだろ――お前が俺の彼女とキスしてたから――。
 そう言われたらどうしよう――そうひどく怯えている。
 怖くて怖くて震えている。

「別に……大した理由じゃないし」
「な、なに?」
「他に、好きな人が出来たから……」

「他に、好きな、人……?」
 その声は微かに震えていた。
 整った顔立ちがわずかに歪む。

 今まで決して気付く事のなかった幼馴染の小さな反応の一つ一つを、貴崎は敏感に感じ取っていく。

「お前はさ、どうなんだよ。好きな奴とかいないのか? 選び放題なんだろ? 女子。今年は彼女つくれば?」
「いいよ……俺は。部活、忙しいし……」
 嘘付け。毎晩遊んでいるくせにと貴崎は目を細める。
 貴崎のいじわるな問いかけにもめげず、冬馬は心ここにあらずといった暗い面持ちで何かをじっと考え込んでいた。その視線は貴崎を見つめるわけでもなく、遠くに臨む一欠けらの海面を見つめている訳でもない。

 しばらく部活の話と間近に迫った大会の話をした。とは言っても、主に貴崎が気の利かない短い質問を投げかけて、冬馬がぼんやりとしたそれなりの答えを返すというだけの時間であったが、しばらくして会話が途切れた頃、思いつめたように足元を眺めていた冬馬が作ったような明るい笑顔でこちらに向き直った。

「貴崎の……、貴崎の好きな人って誰? もしかして、うちのクラスの子、なのかな……?」
「え……」
「あ、言いたくなかったら無理やり聞くつもりは無いんだけどさ。もし……うちのクラスなら、俺もいろいろと応援してあげられるかなって……」

「うちの、クラスだけど……」
 貴崎が少しばかりしょんぼりとして答えると、冬馬は更に詳しい内容を聞き出そうと必死になっている。
「誰? 貴崎によく話しかけたりする? 席近い?」
 小さく頷くと、大きな澄んだ瞳が慌しく泳ぎクラスメイトを一人一人思い出しているようだ。

「……栗原さん? あ、咲ちゃんとか?」

「女子じゃ、ないんだ……」と消え入る声を震わせると、成宮は心底驚いた顔をしたが、すぐに「もしかして……、男子ってこと?」と優しく言った。

「貴崎と仲いい……男子?」
 駄目だ気付かれると、ぎゅっと目を瞑って膝に顔を伏せると、隣であっと声があがる。

「もしかして、野木!? 駄目だよ! あんな奴! ってか、あいつ付き合ってる奴いるんだ。野木ってシノと付き合ってるんだよ。ああ見えて、実はすっごいドSだし――」
「えっ……、シノってうちのクラスの?」
「そうそう。趣味悪いだろ? ね、貴崎には相応しくないよ、あんな奴」

 野木が――。
 二年で弓道部の副主将を務めると決まった時は、三年部員ですら反対する者はいなかった。もちろん貴崎も適任だと感じた。
 あの野木が、頼れる副主将が――。
 正直ショックは隠せなかったが、今はそんな話ではない。
 
「いや……野木じゃないし」
「違うの? じゃあ……誰だろ。他に貴崎と話しする奴って……」

 考え込む冬馬の横で、貴崎は大きく息を吸い込んだ。

 駄目だ。ちゃんと言うって、決めたんだ――。
 
 この日。この場所。
 絶対に今しかない。
 袴に身を包んだのだって、少しでも冬馬の気を引いて想いを素直に伝えたいと考えたからだ。

「あの……俺の好きな人って、その……同じクラスで、いつも、すぐ近くに、いて……。で、そ、そいつ今も、お、俺の、と、となり、に……」
 なんだかどこかで、よく似た告白を見たことがあるような気がしないでもない。

「え、なに? 隣? 隣の席ってこと? じゃあ、白石君?」
 どうにでもなれと手放した呟きはあまりにも小さすぎて、大切な部分が幼馴染には届かなかったらしい。

 貴崎はむっとして立ち上がる。

「ち、違っ……! もう! なんだよ、冬馬の馬鹿! 今、隣にいるってちゃんと言っただろっ!」

「今、隣……?」

 座ったまま貴崎を仰ぎ見、ぽかんと口をあけている冬馬に向かって貴崎は袂に隠し持っていた物を思い切り投げつけた。
 地面に落ちたそれを、はっとした様子で拾い上げ冬馬は立ち上がる。

「お、御守り……? 駄目だよ、貴崎。御守りなんて投げちゃ……」 
 子供に諭すように優しく言う冬馬に貴崎は口を尖らした。
「それ、ちゃんと渡したからな」

「安産守り……?」

「なんだよお前! 俺の知らないところで浮気ばっかりしやがって! 好き好きって……ずっと一緒にいてくれるって、昔はあんなに言ってたくせに!」

「貴崎……。あの、あの……、もしかし、て……貴崎の、好きな人って……」

 大好きなあの首元が赤く染まっている事に気が付いて、冬馬の言葉を最後まで聞く勇気が出ず、貴崎はその場から逃げるように駆け出した。

「き、貴崎っ! 待って!」

 狛犬が不在の崩れ落ちそうな社まで走って来て、貴崎は涙目で振り向いた。

「なんなんだよ! 男同士でも、けっ結婚出来るって言い出したのは、そっちだろっ! 冬馬の馬鹿! アホ! 
 お前なんか……、冬馬なんか……大嫌いだ!!」


 そう言ってまた―― 二度瞬く。




                          [完] 
 


 
【後書】 皆様、本当に読んでいただいてありがとうございました♪♪
 つ、ついに! これで完結でございま~す\((( ̄( ̄( ̄▽ ̄) ̄) ̄)))/ヤッター!!
 いや~一年近く(?)の長期連載になってしまったので[完]と打ち込んだときは感慨深いものがありました……(T^T)

 え? 消化不良??
 ラスト一話、R指定だと信じて下さった皆様、待たせた挙句あんまり内容の無い最終話で本当に申し訳ない!!
 一応フォローと致しまして、そんなに長くはありませんがその後の二人の話(実質続編)が連載で少しだけ続きます。
 なので「二度瞬く」としては、貴崎が死んで生き返って想いを伝える、ここまでの展開で終了です。 

 主人公が始まって早々死んじゃう話ってのも面白いな~(←どういう神経してんだ)という思い付きから始まったこの連載ですが、本当に亀更新で想像以上の長期連載になってしまいました。
 更新間隔も一週間だったり、一ヶ月だったり……この点が一番読者様にご迷惑をおかけした点だと思います。
 私の中では育休後の仕事復帰、退職、ずっとやりたかった仕事への転職が何とか成功して、仕事をしながらでも執筆が出来るということが一応証明出来た、意味のある作品でした。
 ただやっぱり、執筆はおろか詳しい内容を考える時間すら上手く作る事が出来ずに、内容としても今までで一番プロットが練れていない物になってしまったようにも思います。
 書き始める前にある程度の内容を決めて書きながら作り込んでいくという執筆方法だったのですが、今回はこの作り込むという作業が殆ど成立しなかった。
 最後の方はもう読者さんからのコメだけを頼りに、やっつけ仕事でとにかくストーリーを進めることでいっぱいいっぱい……(ーー;)
 これではいかん!! と、まあ前回の連載終わった時も思いましたが、今回も更に強く思ったわけです(^^;) 仲良くさせてもらっているブロ友さんの執筆方法なんかを読んで、更に更に驚愕!! うち、あかんやん……、と。

 そういう訳で今後の話ですが、これから、今までの作品「キングの――」と「堕ちます――」の改稿(←なろうサイトのガイドライン新設によってどうしても投稿し直さないといけないので、ついでに書き直し)を挟んで、それと並行で二度瞬くの続編や、まったく新しい新連載のストック作りをゆっくりしていこうと思います。

 まあ、とにかく!! 何はともあれ、ここまで読んで下さった全ての方に感謝です+。:.゚ヽ(*´∀)ノ゚.:。+゚ァリガトゥ
 そして、隣で寝息を立てている旦那と息子にも(  )')chu♪
 それではまた☆see you again!(*^-')/~☆Bye-Bye♪



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テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

limeさんお返事♪♪

いえいえ! こちらもお返事遅くなってしまってスミマセン!!(゚∀゚ ;)
もう最近パソコン開いてネットに繋ぐのが週一になってしまっています(ノд-。)

長期の連載にお付き合い頂きましてありがとうございました゚+。゚ アリガ㌧ ゚。+゚d(`・Д・´d)
うう……なんとか完結出来て、ホントほっとしましたε-(゚д゚`;)フゥ...

これからは少しずつlimeさんを見習ってストック作っていきますよ~!!(あくまで希望……)
続編はその間の繋ぎなので、私も楽しんで書きたいなと思います♪♪

あの偉そうに喋る犬にも会えることかと……(´-∀-`;)

あ、limeさんのところの連載も楽しませて頂いておりますよ~(*≧∀≦)
もっぱら携帯からばかりなので、あまりコメント残せなくてごめんなさい(ωV_vω)ペコ
またゆっくりお邪魔させて頂きますね~♪

ありがとうございました♪感謝☆(人゚∀゚*)☆感謝♪

完結おめでとうございます!

わ~~!遅くなってごめんなさい。

完結おめでとうございます!
最後、あの苦しい日々をぜんぶぶっ飛ばして、もとの時間にもどれて、よかった~~。
そして、なんとも初々しくもどかしい二人の会話。
やっぱり、こうならなきゃ。
告白できてよかったねえ。

もう、気持ちはこの後の続編に飛んでます・笑
どんな会話をするんでしょう。

最後の「マル」に関する部分、笑ました。
なんとも、存在感の大きな犬でした。
もはや犬でも無かったか。
16さんは、あんな動物(もどき)を書かせたら凄い・笑

楽しい物語をありがとうございました。
16さんのお話は、想いもよらない展開を見せるので、いつもドキドキ。
新鮮でした。
私生活でも、毎日忙しいと思いますが、ずっと書き続けてくださいね。

次回作も楽しみにしています♪

けいったん様お返事♪

けいったんさん♪ いつもありがとうございます~ワァ──ヽ(〃v〃)ノ──イ!!

いつも優しいお言葉ばかり頂きまして、執筆中何度も励まされました!!
気がつけば約一年……Σ(;゚Д゚ノ)!!

内容の出来不出来とは別に、最低限作者が守らなければいけない約束事として、一番はとにかく完結させる事だと私は考えております(*´・д・)*´。_。)ゥミュ
ただ、自分が読者の立場になって考えてみると、例え一月に一回だとしても、コンスタントに更新するという事も、実は完結させるのと同じくらい大切なことなのかもしれないと今回の連載で痛感しました。

と言いつつ、何だかんだでこれからも更新日が安定しなくてご迷惑をお掛けするかもしれませんが(´-∀-`;)

文章の上達はどうにもなりそうにありませんが(*゚∀゚*)オイ! 直せる部分から少しずつ♪ 少しでも読んで頂きやすい小説を書けるように頑張りますね~!!

長期にわたる応援ありがとうございました゚+。゚ アリガ㌧ ゚。+゚d(`・Д・´d)
続編も楽しんで頂けるとうれしいです☆
ではまたβуё★ (o'ω'o)ノ ★ βуё

八月さんお返事

キャハ━━━━(#゚ロ゚#)━━━━ッ!! 
お忙しいのに飛んできて下さったんですね! ありがとうございます。゚(●'ω'o)゚。うるうる

そうですね~、仕事復帰・退職・転職と、今思い返しても激動でした(;^ω^)
でもこうやってネットでの活動があって応援して下さる方々がいると、私生活が嵐のように忙しくても、どこか安定した部分が持てる♪ ネットでの活動に出会って、自分の生活にすごく深みが出たように思います♪

おお~! 八月さんなかなか派手に旦那様と戦われてますね(笑)とても優しい穏やかな雰囲気の作品を書かれているので、意外です! そんな激しい一面も!? いや、でも誠実な八月さんのことだ……きっと悪いのは旦那さんなのでしょう(笑) だから謝らなくてもいいはずだ……ヾ(=д= ;)ォィォィ

やっぱり夫婦生活に、夫婦喧嘩はつきものですよね~♪ 火花が大きくなるか小さくなるかはありますが、そうやってぶつかり合って角が取れてお互い丸くなっていくのでしょうね☆

長期にわたり応援ありがとうございました♪♪
成宮のタラシ癖治るといいのですが……(;^ω^) 続編の方も楽しんで頂けると幸いです♪♪
またブログの方にお邪魔させて頂きますね~!!

咲様お返事♪

いち早くコメントありがとうございます~♪♪

そうなんです~(´。・ω・。`)シクシク
ついに終わってしまった……作者が悲しむのも変ですが(;´・ω・)

楽しんでいただけたようで幸いですヾ(*´∀`*)ノ ♪
おお! そして何気に、最終話に同じ名前で登場してしまいましたね(笑)
関西弁の犬は……実際一緒に住むとなると大変でしょうね(ヾノ゚д゚`) 
案外無口な猫よりも、人懐っこい犬の方がしゃべると大変かもしれんですね~(。-`ω´-)ンー

いえいえ大作だなんて(ノ∀\*)キャ
ただ書くのに時間がかかってしまっただけで……(´-∀-`;)
続編も楽しんでいただけると嬉しいです♪♪

本当にありがとうございました(人'▽`)ありがとう☆

完結 、お疲れ様でした m(uωu`*m)

最終話に ”R”を希望しては 無かったのですが、16様の 後書きを読んで それも アリだったのかと 思いました。(笑)
祐の告白で 終わる。そして 最後の「冬馬なんか・・・大嫌いだ!!」は、貴崎らしい終わり方で 私は 好きですね~♪

一年間の長期連載とは そんなに 月日がーーΣ(@@) 回を重ねる毎に 段々と 面白くなっていたので 一年という実感は 無いなぁ~

不定期更新を 気になさっているみたいですが、作者様の リアル生活の 順調が 一番大事なのですから そんな事は これからも 気にしないでね(*^‿・)

続編を期待して いいみたいなので 楽しみに お待ちしてま~す♪  16様、本当に 面白くて 素敵な作品を ありがとう _/\○_【感謝状】...byebye☆

完結(;ω;)

完結おめでとうございます。なんだか寂しい…(;ω;) 旦那さんがとなりでゴルフ番組観てるのに、「二度瞬く」が完結と知って飛んできてしまいました(^-^; また、夜にゆっくり読みに来ます。

最後、すごく初々しいですね! いやあ、可愛いな貴崎くん…(*´ェ`*) エロはなくても萌えます♪ あとは成宮くんのタラシ癖が治るかどうか(;´▽`A`` なんだかんだお兄ちゃんともアヤシイし。浮気はイカンですよ、浮気は\(*`∧´)/ 貴崎くんを泣かさないで~。

16さんの身辺も連載中に色々と変わって大変でしたね…ブログへお邪魔する度に、前へ進んでいる、進もうとしている16さんを目にして、すごく勇気づけられる、心強い気持ちがしていました。まだまだこれから色んなお話を書かれるのを、とても楽しみにしていますヽ(´▽`)/

前回の記事の旦那さんとのアレコレ…は、とても八月が口を出せるものではないですが、うちもよくありました~(*^-^) 最近ではあまりないですが(うん? そうでもないか…)旦那さんにビンタかましたことは2回、土下座は3回…いや4回? ガチの夫婦ゲンカで八月が謝ったことは多分ないです。ドSの女王様か┐(´-`)┌
父親の自覚がない、ということで大概ケンカになるんですが、最近になってようやく「らしく」なってきてくれました。しかし、それにしても我ながら虐げ過ぎなんじゃ…(^-^;

長々とコメントしてすいません、最終話、パグのマルがついにパピヨンになったことや「キングの買い物」とリンクしてるのも楽しかったです( ̄ー ̄)ニヤリ
またお邪魔しますね♪ 本当に完結おめでとうございますo(_ _)oペコッ
 

No title

うっはぁ~!
ついに、ついに!終わってしまったっ
そして告白はやっぱし貴崎からっ!?
てかなんか同じ名前で超心臓バクバクしてしまいましたよっ!!←(実際むちゃくちゃ嬉しい
それにマル(? の声相変わらず聞こえちゃうんですね。。
羨ましぃわぁ~~
関西弁ってのもぐっときちゃうっ!

これだけの大作の執筆なかなか苦労されたことでしょう
お疲れ様でしたっ!!!

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