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二度瞬く [第三話]


「命日明け」


「いいからさっさと乗んなさいよ! 死んだからってゆっくり休めると思ったら大間違いなんだから」

 実にヒステリックな罵声。
 その女の第一印象は最悪だった。

 紺のパンツスーツに胸まで伸ばしたストレートの黒髪。目鼻立ちのはっきりとした顔にひどく濃い化粧をしているのに、なぜか色素の少ない、死人のように地味な印象を与える。

 


 貴崎が誰もいない教室を出たのは一時間目終了のチャイムが鳴る直前だった。
 自分の机につっぷし、短い過去をとりとめもなく思い出しては、これから先という未来がない自分を実感することも出来ず、涙をこぼすこともなかった。
 ただ冷静に自分は死んだのだと心の中で繰り返す。

 チャイムと同時に教室からあふれ出す生徒の間を、とぼとぼと歩いてトイレへ向かった。
 洗面所の前に立つと、確かに自分は存在しているはずなのに、それを否定するかのように鏡に自分の姿は映らない。
 やっぱり――。
 蛇口をひねる事は出来ても、そこから流れ出る水にはさわれない。ふれても水が跳ねない。感触がない。
 やはり貴崎の身体は透けているのだ。
 自分の細い指を貫いてまっすぐ排水溝に落ちていく流れを見つめながら、またしばらく立ち尽くす。

 校内をさまよう様に歩いていると、一之瀬のように貴崎の存在に気付く者が数人いることを発見した。
 その場の空気に違和感を感じ寒気に腕を抱くだけの者、一之瀬と同じように貴崎と目が合い露骨に顔面を青くする者、気が付いているのに絶対に視線を合わせようとせず背を向ける者。
 この世の者では無い存在を感じてしまう自分達の厄介な体質を悔やむように、全員が嫌そうな表情をする。
 嫌われることには慣れていた。例えそれは死んだ後でも変わらない。

 校門を出たのは、寒空に濁った太陽がせり上がる正午前。
 死んでいるはずなのに外気は冷たく感じ、ぎゅっと身体を縮める。
 何を考える訳でもなく、とりあえず家の方向につま先を向けて歩き出すと、背後から聞き覚えのある排気音が響いた。
 高音を含む重低音。
 トロンボーンやホルンを力いっぱいに吹いたような音だと思ったのを覚えている。

 貴崎が足を止めて恐る恐る振り返ると、校庭前の一本道を驚異的なスピードで走ってくる車がある。
 目を凝らしてハッとした。
 純白の低い車高。
 忘れもしない。あのスポーツカー。
 時折浅い爆発音を排気しながら、自分の殺害現場が向こうから急加速してくる。
 
 

 
 
 立ち震える貴崎の真正面で車体はアスファルトを焦がして急停車し、ドアが開く。
 中から顔を覗かせたのは――あの男では無かった。
 初対面の女。
 それもかなりの美人である。
 
 女は見えないはずの貴崎の目をしっかりと睨みつけて、ひるむこともない。
 しかしその女はあきらかに不機嫌で、運転席から上半身をこちらに伸ばして急かすように怒鳴りつけた。

「あんた貴崎 祐(ゆう)ね? 乗って!」 

 状況が理解出来ずに押し黙る貴崎に、女は続けて強い言葉で「早く!」と乗車を促す。

「いいからさっさと乗んなさいよ! 死んだからってゆっくり休めると思ったら大間違いなんだから」

 唖然として動かないでいると、最後には車内からにゅっと女の白い手が伸びで来て、貴崎の腕をつかんで無理やりに車内に引き込んだ。





【後書】
 皆様いかがお過ごしでしょうか??
 もう前の更新から一月以上経ってしまったのですね(ノω・、) ウゥ・・・
 大変お待たせいたしましたと共に、今回はこんなに短い本文で申し訳ありません。

 言い訳をさせて頂きますと、週に一回休み前日に徹夜でパソに向かって執筆するという生活だったのですが、前話掲載後から息子の風邪やなんやらで生活が狂いだし、結局この話を書き出したのが三月に入ってからになってしまいました。いやあ、現実逃避出来ない日々……辛かったです(T^T) 
 このままではまずいと思い、平日の朝に一時間から二時間早く起きて執筆する生活に変えたわけです。するとなかなか調子がいいw( ̄△ ̄;)wおおっ!
 そして一話分書いてみると、一万字……またしてもK点越え。あかん!と思って割れる所で分割してみると、三つに割れまして、一話がこんなに短くなりました。申し訳ない……(ToT)ゞ スンマセン
 でも次話は手直しをするだけですので、今週末にはあげれそう♪♪
 
 ではそろそろ旦那が起床いたしますので、洗濯物たたんで、お茶を沸かします。
 皆様良い一日を♪♪ 
 超夜型女の自分がこんな事言えるなんて……年取ったわ(笑)
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コメント

Re: No title

 八月さんお久しぶりでございます~⊂((〃/⊥\〃))⊃ウキャ♪
 返信・承認がとても遅れてしまってスミマセン。
 こんな不定期更新のブログを忘れずにいて下さってありがとうございます!!
 本編はいよいよ訳の分からない展開になってきたのですが、お付き合い頂けると幸いです(^^;)
 
 新しいメアドありがとうございます♪♪
 せっかくなので、ブログにお邪魔した時のコメをメールで送らせてもらおうかと♪( ̄▽ ̄)うへへへぇ~
 君の手2、いよいよハピエンが見えて来ましたね!! この時を待ってました♪ やっぱりラブ甘がいい~(*ノノ)キャ 続き楽しみしてます!!あまり足跡残せませんが、必ず読みに行きますので!!
 それでは、またお邪魔させて頂きますね☆彡
 
 

No title

お久しぶりです♪
メアドを変えたのでそのご挨拶を、とお邪魔したら、……更新されてる!やった、と楽しく拝読させて頂きました\(^o^)/
本当に、これから話が始まる感じですね~、楽しみです(≧∇≦)

朝、一、二時間前に起きて執筆するの、イイですね。そうか、その手があったか……。
いつもダラダラしてる八月ですが、見習いたいと思います…ム、ムリかも…(←すでに日和ってる)

次の更新を楽しみに、またお邪魔します♪
 

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